ビットコインの歴史を辿る。世界を巻き込んだ13年間。

暗号資産(仮想通貨)
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ビットコイン

ビットコインは圧倒的な知名度を誇る、仮想通貨(暗号資産)の代名詞的な存在です。
わずか13年で時価総額は70兆円に達し、GAFAなど世界的な巨大企業の時価総額に並び得る所まで来ました。
他に例の無い驚異的な成長を見せた金融商品でもあります。
今回はビットコインがどの様な経緯を経てここまでの存在に成長してきたのか、忘備録も兼ねて紹介しておこうと思います。
ビットコインの概要については別の記事を参照下さい。

2008年

ホワイトペーパー

2008年10月31日の14時10分(NY時間)、暗号技術に関するメーリングリストにサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)と名乗る人物から投稿がありました。
投稿には論文へのリンクが貼られており、論文には「Bitcoin:A Peer to Peer Electorick Cash System」のタイトルが付いていました。
ビットコインのホワイトペーパーの登場です。
このホワイトペーパーを元に複数の開発者が協力してビットコインの開発が進められました。

2009年

ビットコインのスタート

2009年1月3日、サトシ・ナカモト氏がビットコインのシステムをスタートさせ、ビットコインのブロックチェーンに最初のブロック「Genesis Block(創世期のブロック)」が誕生しました。
Genesis Blockには同日の英国の新聞の見出しとなっていた「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」という言葉が記されています。
記事は英国政府が2度に渡って銀行を危機から救済したという内容のものです。
同時にビットコインのマイニングも始まっています。
ただ当初はナカモト氏の他には誰もマイニングする人はおらず、ナカモト氏が単独でマイニングを行い、最初の6日間だけで4万枚以上のビットコインをマイニングしています。
ナカモト氏はコミュニティにマイニングへの参加を呼びかけ、米国のプログラマー、ハル・フィニー(Hal Finney、2014年没)氏が2人目のマイナーとなりました。

ビットコインの換金

2009年10月12日、フィンランドの大学生だったハンドルネーム「シリウス」ことマルティ・マルミ(Martti Malmi)氏がマイニングで獲得した5,050BTCを5.02ドルと交換しました。
交換相手はハンドルネーム「ニューリバティスタンダード」と名乗るアカウントで1BTC=約0.1円での取引成立でした。
ビットコインがリアルなお金と初めて交換された瞬間です。
マルミ氏は2009年から2010年に掛けて約55,000BTCをマイニングで獲得していますが、自身が運営していた仮想通貨取引所を通じて30,000BTCを失ったと御自身が話しています。

2010年

ビットコイン・ピザ・デー

2010年5月17日、 米国フロリダ州に住むプログラマーのラズロー・ハニエツ(Laszlo Hanyecz)氏が、使い道の無かったビットコインを使って何か物を買えないかと考えました。
そこでラズロー氏がネット上のビットコインフォーラムで「ピザ2枚と10,000BTCの交換」を冗談半分、本気半分で提案した所これに応じる人が現れました。
5月22日には代理注文されたパパ・ジョンズのピザ2枚(25ドル)がラズロー氏の元に届けられ、初めてビットコインで物が買えた日となりました。
代金はピザ2枚で10,000BTCという、今となっては冗談の様な金額です。
2021年7月23日現在で1BTCは約360万円なので、1枚180億円のピザという事になるでしょうか。
以来仮想通貨(暗号資産)にとって5月22日は特別な日となり、毎年5月22日には「ビットコイン・ピザ・デー」として世界中の仮想通貨コミュニティがお祝いをしています。
ビットコインで最初にピザを「注文」したラズロー氏ですが、その後はビットコインに実装するライトニングネットワーク技術の開発に携わっています。
ライトニングネットワークのテストでは、最初にピザを注文されたと言いますから酒落が効いていますね。
テスト発注時のピザの支払いは0.00649BTCだったそうです。

ビットコインの大量偽造

改竄できないことが売りのブロックチェーン技術ですが、2010年にはビットコインの大量偽造事件を経験しました。
2010年8月には、プログラムコードのバグを突く形で1,840億BTC分のビットコインが偽造される事態が発覚しました。
開発コミュニティが主導してプログラムを修正し、ブロックチェーンを再編することによって対応しました。

2011年

TIME誌

2011年4月16日、米国TIME誌がビットコインの可能性について詳細な記事を掲載したことをきっかけにビットコインの価格は約350円から約3500円に大きく跳ね上がりました。
すると数日後、ナカモト氏からコミュニティのメンバーにメールが届きます。
メールには「I’ve moved on to other things.(私は他のことに移ります)」とあり、以降サトシ・ナカモト氏はコミュニティから消息を消してしまいます。

アルゼンチン出身のIT起業家ウェンセス・カサレスがシリコンバレーの投資家達にビットコインの可能性を説いて回った。

2012年

最初の半減期

2012年11月、ビットコインが最初のマイニング半減期を迎えました。
ビットコインはマイニングの報酬額を21万ブロック生成毎に半分に引き下げる仕組みがあり、これを「半減期」と呼んでいます。
ビットコインでは約4年に1度半減期が到来する計算になります。
当初マイニング報酬は50BTCでしたが、最初の半減期によって報酬が25BTCに引き下げられました。

2013年

キプロス危機

2013年3月、ギリシャで発生した金融危機の影響を受けてキプロスでも金融危機が起きました。
EUはキプロスに100億ユーロの支援をする代わりにキプロス国民の貯金に9.9%の税金をかけることを要求し、キプロス政府がこれを呑みます。
政府の決定にキプロス国民は反発し、銀行からお金を下ろしてビットコインを購入するようになりました。
この危機によってビットコインの価格は一気に11万円(93倍)にまで高騰しました。

2013年12月4日にはNHK「ニュースウォッチ9」がビットコインの特集ニュースを報じます。

中国の仮想通貨規制

2013年12月5日、中国当局が国内の金融機関でのビットコインの取扱を禁止すると発表し、仮想通貨取引を規制する姿勢に転じます。
中国元を取り扱う銀行から暗号資産取引所への入金は禁止され、人民元建のビットコイン価格は実に9割近くも下落しました。
中国は世界的にみてもビットコイン取引の多いビットコイン大国でしたが、市場は大幅に縮小し、ビットコインの価格も下落します。

2014年

マウントゴックス事件

2014年2月、仮想通貨取引所「マウントゴックス(MtGox)」でハッキング事件が発生し、顧客からの預かり資産75万BTC、自社保有資産10万BTC、預り金約28億円が流出しました。
流出した85万BTCは当時のレートで約450億円にも及び、マウントゴックスはこの事件によって事実上経営破綻に追い込まれました。
その後の調査でマウントゴックのセキュリティ対策が驚くほどに稚拙なものであったことも明らかになっており、大規模な訴訟に発展しています。
ハッキングは取引所側のセキュリティの甘さを突かれたもので、ビットコインの欠陥ではありませんでしたが、ビットコインの価格が下落するきっかけとなってしまいました。

2015年

2015年EUがビットコインの売買には付加価値税(消費税)を掛けないとの方針を出しビットコイン価格が上がる。

2017年

中国の規制強化

2017年には中国がビットコインへの規制姿勢をより鮮明に出した年になりました。
2017年9月、中国当局が国内での全ての仮想通貨(暗号資産)とICOの取引を禁止し、中国国内の取引所で仮想通貨(暗号資産)を売買する事ができなくなりました。
中国当局の規制の強化を受けて、中国や香港を拠点としていたバイナンスや houbi などの大手取引所はこの時を機にシンガポールやマルタなど中国国外に拠点を移しています。

日本の仮想通貨制度

2017年4月の改正資金決済法によって仮想通貨(暗号資産)交換業は内閣総理大臣の認可を受けた仮想通貨交換業者のみが行えることとなり、同年9月に仮想通貨交換業として10社が金融庁に登録されました。

Segwit

2017年に行われたビットコインのアップデートでは、処理能力以上に取引が集中して送金遅延や送金手数料の高騰をもたらすスケーラビリティ問題の解消が大きなテーマとなり、Segwitを実装しました。
Segwit(Segregated Witness)は、取引記録のデータ中で大きな割合を占める署名データを別に保存する技術で、これにより1つのブロックに入れられる取引件数を約2倍にできるようになりました。

ビットコインコミュニティの分裂

但し2017年のアップデートの際にはSegwit実装を巡ってビットコインコミュニティが分裂し、混乱を招きました。
Segwitを実装すると現行のマイニングマシンが使えなくなる可能性が出たことから、中国のマイニング業者を中心とするグループがSegwit実装に強個に反対したのです。
結局このグループが独自に仕様変更(ハードフォーク)を実施して別のコインを作り、ビットコインが2つに分岐する事態となってしまいました。
この時にビットコインから分岐して生まれたのがビットコインキャッシュ(BCH)です。

2021年

エルサルバドルの衝撃

2021年6月、中米のエルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領が、ビットコインを法定通貨に制定すると発表し世界中にニュースが流れました。
実際、大統領の発言通りに法案が提出され議会で可決、正式にビットコインがエルサルバドルの法定通貨となりました。

Taproot

2021年11月にビットコインとしては実に4年振りとなる大型アップデート「Taproot(タップルート)」を実施する予定です。

まとめ

ビットコインは世に出てからわずか13年の歴史しか持っていませんが、その間に世界を巻き込んで実にさまざまな事態を経験してきました。
これからもビットコインは色々な状況に遭遇すると思いますので、都度トピックを紹介して行きたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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