テゾス(XTZ)
(2021.01.03.改訂)
テゾス(XYZ)は、ビットコインやイーサリアムなど既存の暗号資産(仮想通貨)が抱える重要な問題を解決しながら、一方ではスマートコントラクトなどの高度な機能も実装する暗号資産です。
こう書くと余り個性が無いようにも見えますが、暗号資産としての基本性能が非常に高く、投資家からも技術者からも熱い期待を寄せられているプロジェクトです。
2021年1月3日現在で約1,551億円の時価総額を誇り、時価総額ランキングでも20位に付けています。
■通貨名称 テゾス(Tezos)
■通貨単位 XTZ
■総合順位 20位*(前回19位**)
■通貨価格 205.9円*(前回233.5円**)
■時価総額 1551億円*(前回1764億円**)
■公開時期
■発行上限 7.6億枚
■承認方式 DPoS (Delegated Proof of Stake)
■創設者 Arthur &Kathleen Breitman
■公式HP https://tezos.com/
(*2021.01.03. CoinMarketcap公開データより集計)
(**前回数値は2020.12.08. CoinMarketcap公開データより集計)
テゾスの創設者
テゾスの創設者はアーサー&キャサリーン・ブライトマン夫妻 (Arthur &Kathleen Breitman)です。
アーサー・ブライトマン氏はフランス出身の金融トレーダーです。
コーネル・ポリテクネック大学で物理、数学、コンピューターサイエンスを専攻し、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーと言った金融系の名門企業で分析者として働いてきました。
一方、キャサリン・ブライトマン女氏はコーネル大学で学士号を取得、その後ウォールストリートジャーナル、ブリッジウォーターアソシエイツ、アクセンチュアでキャリアを重ねています。
分散台帳技術を開発する企業でも戦略スタッフとしての経験を持っています。
夫妻はTezosの最高技術責任者に名を連ねています。
テゾスのICO
テゾスは2017年7月にICOを実施しました。
ICOとは独自のコイン(トークン)を発行・販売して事業の資金を集める資金調達方法の事です。
テゾスのICOでは当時歴代2位となる230億円もの資金調達に成功しています。
因みに1位はイーサリアムのICOでした。
内部分裂と訴訟問題
ところがその後テゾスでは、テゾス知的財産権を持っていた共同創始者のブレイトマン夫妻と、資金を管理していたテゾス財団のヨハン・ジュベール氏との間で内紛が発生してしまいました。
この内紛の煽りを受ける形でテゾスのプラットフォーム開発は無期限に延期されます。
それだけではなく、テゾスのICOに参加した投資家に配布されるはずだったコインも配布されず、投資家達が集団訴訟を起こす事態に発展してしまいます。
集団訴訟は裁判所が投資家側の支払請求を却下する形で2018年8月に収束します。
訴訟の終了によって、ようやくテゾスの開発も再開に漕ぎ着け、2018年9月にテゾス財団がメインネット(独自のブロックチェーンを持つシステム)の立ち上げを発表します。
メインネット移行の発表を受けて、テゾスの価格は上昇しています。
テゾス(XTZ) の特長
テゾス(XTZ)の特長、メリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主な項目としては
●分裂が起こらない仕組み
●安全性の高いスマートコントラクト
●民主的なシステム
●匿名性が高い
と言った項目が挙げられます。
分裂が起こらない仕組み
多くの暗号資産では、大きな仕様変更やアップデートを行なう時に「ハードフォーク」(変更前に戻れない形の仕様変更)を実施しています。
ハードフォークではしばしば意見の対立を纏められずにコインが分離してしまう事態を招くリスクを生じます。
ビットコインから分岐したビットコインキャッシュなどが代表的です。
テゾスでは、仕様を構築するプロトコル(手順・ルール)を以下の3つに分けて構築しています。
●ネットワークプロトコル
●コンセンサスプロトコル
●トランザクションプロトコル
3つの手順をそれぞれを独立させて構築する事で、仕様変更やシステムの修正の際に分裂を必要としないブロックチェーンの開発に成功しています。
ハードフォークによる分裂は、しばしば暗号資産の価格下落要因になっています。
このリスクが無くなる事はコインの価値の安定に大きく寄与し、テゾスの信用を増す要素となります。
安全性の高いスマートコントラクト
テゾスとはギリシャ語で英語のスマートコントラクトに相当する言葉との事です。
実際テゾスは優れたスマートコントラスト機能を有しています。
テゾスではFormal Verificationという検証機能を実装しています。
Formal Verificationは数学的理論を使ってスマートコントラクトの契約が正しく実行されているかを検証・実証する機能で、ソフトウェア製品などの検証にも用いられている原理を応用しています。
この機能によって、スマートコントラクトの安全性を高める事ができます。
民主的なシステム
テゾスでは、ブロックチェーン記録の承認にDPoS(Delegated Proof of Stake)という承認方式を採用しています。
ビットコインなどが採用している承認方式(PoW)では、マイニング競争によって記録の承認者が決まり、承認者に報酬が支払われます。
マイニングには高い処理能力を持つコンピュータ(CPU)を保有する人が圧倒的に有利となり、報酬(新規発行分のコイン)の寡占化が危恨されています。
またマイニングには膨大な電力を消費する事からエネルギー負荷が高過ぎるとの懸念もあります。
テソスでは、保有するコインの量に応じて報酬量が決められるPoSという承認方式をベースにしながら、保有者が投票によって承認作業を委任 (Delegated)できるシステムを構築しています。
保有量を基にした民主的で電力消費の少ない承認システムと言えます。
テソスでは、ブロック情報の承認だけでは無く、開発の意思決定の場でもより民主的な意思決定の方法を取り入れています。
テソスでは、ユーザー自身が開発の方向性を決められる Futrarchyという意思決定システムを採用しています。
Futrarchyでは、ユーザーの投票によって開発の意思決定が行われます。
開発のインセンティブ
テソスでは個々の開発者が自らアップグレードを提案する事ができます。
ビットコインなど一般的な暗号資産のアップグレードでは開発者に対しては報酬が発生しない仕組みになっていますが、テゾスでは、提案の内容が採用された場合には提案者に報酬が支払われます。
報酬というインセンティブがはっきりしている事で、技術者がより積極的に開発に関わる事を期待できます。
匿名性が高い
テゾスではリング署名という方法で匿名性の高い送金を実現しています。
リング署名は、匿名通貨として有名なモネロでも採用している方式で、複数の取引を纏めて送り、個々の取引内容が分からなくしています。
ビジネスでの利用を念頭に置いた時、匿名性の確保は非常に重要な要素になります。
ただ一方、匿名性はマネーロンダリングなどにも利用されやすいという側面をもっており対策が望まれる所です。
テゾス(XTZ)のデメリット
テゾスのデメリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主な項目としては
●内紛の影響
●国内の取引所で購入できない
といった項目が挙げられます。
国内の取引所で購入できない⇒購入できるようになりました!
テゾスは、日本の取引所では取り扱っている所が無く、購入する事ができません。
どうしてもテゾスを購入したいと言う事であればは、海外の取引所にロ座を開設して購入する必要があります。
海外では有力取引所の多くで取り扱われており、流動性もあるので取引はしやすいコインと言えます。
⇒2020年12月、bitFlyerでテゾスの取り扱いを開始したのを皮切りに複数の国内の暗号資産交換会社でテゾスが購入できるようになりました!
内紛の影響
テゾスはICOの終了直後という相当に悪いタイミングで内紛問題が表面化し、プロジェクトの信用を大きく落とした経緯があります。
この件が尾を引いて、技術面には評価しながらも運営面にネガティブな印象を持ち続けている人も少なくありません。
このイメージを払しょくして信用を高める事が、テゾスにはまず求められるでしょう。
価格の見通し
2021年1月3日現在、テゾス(XTZ)の価格は205.9円を付けています。
テゾスの基本スペックや技術に対しては評価する声も多く、様々な事業との提携も生まれている事から、今後の価格の上昇にも期待が持てます。
ポジティブなニュースが続いてくれば300円を超えて更に価格が上昇しても全く不思議ではありません。
もちろん実際の取引は御自身の判断、自己責任でお願いします。
まとめ
テゾス(XTZ)は、先行するビットコインやイーサリアムなどの先行コインが抱える諸々の問題を確実に解決して、実用性の非常に高い暗号資産を実現しようとしています。
実際、スケーラビリティ問題を解決し、プログラムのバグを排し、ハードフォークは起こらず、膨大な電力を消費する事も無い、とても高いスペックを持つ暗号資産と言えます。
反面、テゾスと言えばこれ!とう分かりやすい特長が絞りにくいのも事実で「渋いコイン」という印象も与えています。
それでも基本技術の裏付けがしっかりしている事はやはり強みで、企業との提携も続々と決まっています。
テゾスが頭角を現してくるのはこれからという意見も多いです。
テゾスのこれからの動きに注目していけば、大きなチャンスを手にできるかも知れませんね。
是非、注目して下さい。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
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