USDFとは!?初の銀行主導のステーブルコインを解説。

暗号資産(仮想通貨)
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米国の銀行が暗号資産を発行⁉

2022年1月12日、米国の複数の銀行が共同事業体を組成し、米ドルに連動するステーブルコイン『USDF』を開発・発行することを明らかにしました。
銀行主導による初のステーブルコインの発行です。
暗号資産に対しては米国証券取引委員会(SEC)を中心に規制の動きが強まっており、特にステーブルコインについては民間企業が発行する事を禁止するべきとの議論が起こっています。
既にテザー(USDT)USDコイン(USDC)など幾多のステーブルコインが存在し暗号資産市場で重要な役割を担っている中、USDFの登場はどの様な影響を与えるのでしょうか。
銀行主導のステーブルコイン、USDFを紹介します。

USFDコンソーシアム

米国の銀行であるニューヨーク・コミュニティ・バンクファーストバンク、更にスターリング・ナショナル・バンクが加わって共同事業体「USDFコンソーシアム(USDF Consortium)」を組成し、法定通貨ドルに連動するステーブルコインの開発を進める事が発表されました。
USDFコンソーシアムは米連邦預金保険公社(FDIC)の支援を受けており、加盟行・組織はその後も増えて2022年1月時点では7行になっています。
USDFは米国の複数の指定銀行で発行され、USDFコンソーシアムの加盟銀行で1USDF=1ドルのレートで米ドルと交換できる形にする事で価値を担保します。
銀行がステーブルコインを発行することで、民間企業発行のステーブルコインが抱えるユーザー保護や規制への対応に強みを発揮するとしています。
ニューヨーク・コミュニティ・バンクなどは集合住宅向けローンなどに強みを持っているのでこうしたローンにステーブルコインが使われる可能性もあります。

ステーブルコイン

ステーブルコインとは米ドルやユーロ、日本円などの法定通貨やその組み合わせなどに価格を連動させたコインの事です。
ペッグ通貨とも呼ばれる事もあります。
世界の基軸通貨である米ドルと連動したステーブルコインがもっとも多く、テザー(USDT)USDコイン(USDC)Dai(DAI)などが知られています。
主なドル連携のステーブルコインと時価総額は以下の通りです。

■テザー(USDT) 9.0兆円*
■USDC 5.7兆円*

■バイナンスUSD(BUSD) 1.7兆円* 
■Terra USD(UST)  1.3兆円*
■DAI 1.1兆円*

*2022.01.30.CoinmarketCap発表データによる

既存ステーブルコインへの懸念

既存のステーブルコインはいずれも民間の企業やプロジェクトが開発したコインで価格を連動させる方法も異なります。
テザー(USDT)は発行したUSDTと同額のドルをプールしておく事で価値を担保していますが、DAIの場合はMKRという他のコインと連携してMRKが価格変動分を吸収する事でDAIの価格を安定させるという仕組みを採用しています。
当初からステーブルコインに対しては価格が連動できなくなってユーザーが不利益を被るリスクが指摘されており、実際これまでもテザーなどで価格安定の条件に疑念が生じて価格乖離が起きる事態が度々発生しています。

IRONとTITANの大暴落

極端な例が2021年6月に起きたIRONTITANの暴落劇です。
アイアン・ファイナンスは2021年3月に米ドルと価格が連動する(正確にはUSDCと連動する)ステーブルコインIRON(アイアン)と価格が連動しないTITAN(チタン)という2つのコインを発行しました。
簡単に説明するとTITANの価格が変動する事でIRONの変動を吸収し、IRONの価格はUSDコインと同等に保たれるという設計になっています。
両コインは順調に時価総額を増やして行きましたが、2021年6月16日から17日にかけてTITIANが2日で9億分の1になるという空前の大暴落を起こし、IRONの価格も維持できなくなるという事態になりました。
TITANの暴落も大問題ですが、ステーブルコインのIRONが0.71ドルまで下落し信頼性を損ねた事件でもありました。
ドル連動のコインである以上は価格がドルに対して安定している事を求められます。
IRON/TITANの様な事態はユーザーに不利益を齎すばかりか、法定通貨ドルの信用性にさえ悪い影響を与えかねません。

ステーブルコインへの規制

こうした事態を背景に米国ではステーブルコイン規制の機運が高まって行きました。
2021 年11 月には大統領直下のワーキンググループが「ステーブルコインに関する報告書」を公開し、ステーブルコインの発行体を金融機関に制限するなどの提言を示しました。
日本でも、2021年12月に金融庁がステーブルコインの発行体を銀行・資金移動業者に限定する方針を明らかにしています。
米国の規制にはテザーやUSDコインだけでは無く、フェイスブック社(現メタ)が仕掛けて議会を中心に騒動となった暗号資産リブラ(Libra。その後ディエムに変更)の存在も視野に入れています。
いずれにしても、ユーザーの保護や犯罪対策の観点から規制は必要というのが国際的な同意を得てきていると言えます。

USDFが台頭する可能性

ステーブルコインへの規制が強化される中、USDFは規制に対応したコインとして大きく勢力を伸ばしてくる可能性があります。
元々銀行の組織が発行するという点で信頼性が高く、当局の規制にも該当しないとなればユーザーは安心して利用する事ができます。
既存のドル連携コインからUSDFへの移行が起こる可能性も小さくありません。
逆にUSDFへのシフトによって既存のステーブルコインが縮小し、価格を安定させられなくなる事が危惧されます。
テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)など既存のステーブルコインの発行元も規制への対応を迫られています。

投資の選択肢が増える

銀行がステーブルコインを取り扱う事によって、DeFi投資への参加も容易になります。
ただUSDFはERC規格では無いので現段階では多くのDeFiに直接接続する事は難しい状況です。
また外国通貨のステーブルコインとやり取りする事で国際送金が低コストで迅速でできる可能性も高くなってきました。
投資や金融サービスの選択肢が増える事で金融機関も暗号資産も使いやすくなるとUSDFも広く定着する事になりそうです。

まとめ

USDFの発行は暗号資産(仮想通貨)の世界が、銀行が暗号資産を発行するという新しい段階に入ったことを示しています。
DeFiを活用した投資も大きく変わる可能性があります。
マネーロンダリング対策への有効性が証明されれば、一気に暗号資産と法定通貨の垣根が低くなる事も期待できます。
USDFに続く銀行主導のステーブルコイン開発も予想され、米国以外の動きも加速しています。
銀行主導のステーブルコインが定着して行くか、見守って行きたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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