依然として人気の根強いNFT投資
一時の異常とも思える熱狂状態は無くなったものの、依然として盛り上がりを見せているNFTアート。
正直アートとして評価して良いのか戸惑うものも少なくないですが、渋谷や六本木、秋葉原などのNFTイベントはどこも盛況という状況です。
当サイト「コイン資産倶楽部」はいわゆるNFTアートへの投資を推奨する立場では無いですが(むしろ消極的)、情報が欲しいという声も頂くので人気のNFTシリーズを紹介していきます。
今回は類人猿のデザインが印象的なボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Ape Yacht Club/BAYC)です。
Bored Ape Yacht Club(BAYC)
ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Ape Yacht Club/BAYC)は2021年4月に公開されたNFTシリーズです。
退屈な類人猿(Bored Ape)の上半身をモチーフにしたデザインに見覚えがある方も多いと思います。
ジャスティンビーバーやNBAのステフィン・カリー選手などの多くの著名人が保有しており、最低50ETHからというとんでもない価格で取引されています。
NFTアートの代名詞的存在といえる人気シリーズです。
■名称 Bored Ape Yacht Club(BAYC)
■制作 ユガ・ラボ(Yuga Labs)
■規格 イーサリアム/ERC721規格
■公式サイト
■OpenSea
イーサリアムのブロックチェーン
BAYCは10,000個(10,000種類)限定のイーサリアムのブロックチェーン上に発行されたNFTとして展開されました。
イーサリアムの実質的なNFT規格であるERC721規格に準拠しています。
BAYCのアートは人が描いている作品では無く、表現、帽子、服装など170以上のパーツをプログラムで自動生成して創られています。
基本的には漫画のような猿(類人猿)の絵ですが、中には宇宙人などの希少な類人もいます。
PCが勝手に描いている?!
BAYCの作品はクリエイターが描くのでは無く、PCソフトのアルゴリズムや数学的手法によって作品を描く「ジェネレイティヴアート(Generative Art)」と呼ばれる手法によって製作されています。
ジェネレイティブアートは1960年代に生まれた絵画の手法で、規則的なプログラムの中にランダム性を組み込む事で、人の発想を超えた創造性を生む可能性を持っています。
NFTアートの先駆者である「クリプトパンク(Crypto Pank)」がこのジェネレイティブアートの手法を使って成功を納めており、BAYCもこれに倣った形です。
最低でも1,000万円超え!
BAYCは2021年4月に世界最大級のNFTマーケットプレイスとして知られる「オープンシー(OpenSea)」で販売を開始します。
販売価格は全て0.08ETHでしたが最初に販売されたNFTは数日で完売。
5月になるとSNSのプロフィール欄に保有するBAYCの画像を表示するユーザーが増え始め、BAYCの特徴的な画像が話題となり始めます。
その後多くの著名人がBAYCを購入した事が明らかになると価格が急騰し、とりわけNBAウォリアーズ所属のステフィン・カリー(Wardell Stephen Curry II)選手が購入した事は大きな話題になりました。
BAYCは最も人気の高いNFTシリーズとなり、2022年11月時点ではオープンシーでの最低価格が65ETHとなっています。
ユガ・ラボ社
BAYCはガーガメル(Gargamel)氏とゴードン・ゴネル(Gordon Goner)氏の2人が発案しました。
彼らは既に大人気となっていたNFTシリーズ「クリプトパンク(Crypto Punk)」の成功を目にしてオリジナルNFTを展開する事を考えます。
当時、クリプトパンクの購入者らの間では保有するNFTを自身のSNSのアイコンとして使うことが流行になっていました。
そこでアイコンに使いやすい、特徴のあるキャラクターの顔画像をデザインしてNFTにする事にしました。
類人猿を選んだ理由は何か馬鹿げたものを描こうとして辿り着いたものだそうです。
彼らはその後ノー・サス(No Sass)氏とエンペラー・トマト・ケチャップ(Emperor Tomato Ketchup)氏という友人のプログラマーを加えてチームを作っています。
グラフィックを制作するために約4万ドルの費用を掛けてプロのイラストレーターも雇った事も後に明らかにしています。
このチームで2021年4月に公開したのがBAYCという事になります。
現在は彼らが設立した米国のユガ・ラボ(Yuga Labs)社が展開しています。
最近ではBAYC以外にもボアード・エイプのNFTシリーズが展開されていて、どれも相当な高値が付いています。
*名前は全てハンドルネームです。
NFTが会員証になる
ボアード・エイプのNFTはクラブの会員証を兼ねています。
ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)のNFT所有者はBAYCの会員専用サイトにアクセスする事ができ、会員の特典を受ける事ができます。
最初の特典として用意されたのが「バスルーム」へのアクセス特典です。
バスルーム
バスルーム(TheBathroom)は会員専用のコラボレーション グラフィティ ボードです。
BAYCのNFTを1つ以上保有しているウォレットを接続する事で専用サイトにアクセスできます。
バスルームは共同芸術実験の場と位置づけられた場所です。
但し”Bathroom”は「浴室」というよりは「(浴室付きの)トイレ」のニュアンスを持っており、グラフィティボードは「トイレの落書き」をイメージしたものと考えられます。
馬鹿馬鹿しいものを前面に押し出しているBAYCの文化を感じさせます。
NFTの所有者はバスルームの壁に15分毎にピクセルをペイントする事ができます。
言葉を書いたり、絵を描き込む事ができるメンバー限定の共同キャンバスになっています。
将来的にはこのキャンパスが大きな価値を産むかも知れません。
コミュニティへの参加
ボアード・エイプのNFT保有者は、ボアード・エイプのコミュニティに参加する事ができます。
世界的に利用されているチャットツールであるDiscord内にボアード・エイプのNFT保有者が参加できるグループチャㇳがあります。
会員制のコミュニティ(グループチャット)という形ですが、ボアード・エイプのNFTがあればアクセスできる仕組みになっています。
ボアード・エイプのコミュニティには著名人が多数存在しており、その事がコミュニティの存在価値を高めてもいます。
ボアード・エイプのNFT保有者と見られている著名人としては以下の方々がいます。
・ジミー・ファロン氏(米国のテレビ司会者)
・ポスト・マローン氏(ラッパー)
・DJ キャレド氏(人気DJ)
・松浦勝人氏(エイベックス代表)
・マドンナ
・グウィネス・パルトロー
・パリス・ヒルトン
今後の特典
ボアード・エイプでは今後も随時特典を追加していく予定で既にロードマップも作られているのですが、現在はロックが掛かって見られなくなっており、今後順次解除されて行きます。
クラブメンバーの特典と提供物は時間の経過とともに増加して行きます。
ミュータント・エイプ・ヨット・クラブ(MAYC)
BAYCの大成功を受けてユガ・ラボ社はボアード・エイプの新たなコレクション「ミュータント・エイプ・ヨット・クラブ(Mutant Ape Yacht Club/MAYC)」を誕生させます。
ミュータンド・エイプ(MAYC)はボアード・エイプのミュータントバージョンといった位置づけになる最大2万個のNFTコレクションです。
パブリック・セールで入手する他、既存のボアード・エイプのNFTに「血清(Mutant Serum)」と呼ばれるNFTを”投与”することでも作成される仕掛けになっています。
「血清」のNFTはボアード・エイプのNFT保有者に無料配布(エアドロップ)されました。
ウォレットに両方のNFTを保有すると新しいNFTが発行する事ができます。
血清はNFT市場であるオープンシー内の「ボアード・エイプ・ケミストリー・クラブ(Bored Ape Chemistry Club(BACC))」でも販売されています。
ボアード・エイプ・ケネル・クラブ(BAKC)
ボアード・エイプでは子犬のデザインのNFTシリーズ「ボアード・エイプ・ケネル・クラブ(Bored Ape Kennel Club/BAKC)」の展開も行いました。
ボアード・エイプの会員を対象にボアード・エイプのペットとしてNFTを期間限定で発行しました。
ボアード・エイプのNFT保有者は、ネットワーク手数料(ガス代)を支払うだけでことで子犬のNFTの保有者(里親)になる事ができました。
BAKCはマーケットプレイスで販売(二次販売)をする事ができますが、売れた時には2.5%のロイヤリティが発生し、ロイヤリティ収益は慈善団体に寄付される事になっています。
今後の展開
ボアード・エイプは最も人気のNFTコレクションという立場を活用して活動の幅を拡げようとしています。
ボアード・エイプとのコラボレーションによるグッズ展開が進んでいます。
会員限定の「BAYC Merch Store」が設置され、限定パーカーやTシャツなどのグッズが販売されています。
ボアード・エイプ独自ののメタバースプラットフォーム「Otherside」も準備が進められています。
更に2022年3月にはボアード・エイプの暗号資産であるApe Coin(APE)が発行されました。
メタバース空間内の土地のセール時にはApe Coinの価格が急騰しましたが、程なく急落も経験しています。
ただ、NFTにメタバースと様々なイベントを仕掛けがしやすい立場なだけに今後の上昇も期待されます。
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