アバランチ(Avalanche)とは?! メタバースでも注目される暗号資産プロジェクトを解説

メタバース
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2021年に急成長したプロジェクト

暗号資産にさまざまな機能を組み込める「スマートコントラクト」機構を使ったサービスの分野ではこれまでイーサリアムが圧倒的な影響力を持ってきましたが、2021年頃から「イーサリアム・キラー」などと呼ばれる新興のプロジェクトが台頭して競争が激化しています。
その中で21年に大きく勢力を伸ばしたプロジェクトの1つがアバランチ(Avalanche)です。
暗号資産は$AVAX。既に時価総額ランキングのトップ20に名を連ねる有力コインに成長しています。
メタバースの注目プロジェクトにも採用されるなど、ますます注目度を高めています。
今回はアバランチのプロジェクトを紹介します。
暗号資産$AVAXの詳細については対象の記事を参照下さい。

アバランチ(Avalanche)

アバランチ(Avalanche)は米国コーネル大学のエミン・ギュン・シラー(Emin Gün Sirer)教授とそのチームによって創設されたプロジェクトです。
現在はエミン氏がCEOを務めるアヴァ・ラボ(Ava Labs)社が開発を担っています。
当初からアンドレッセン・ホロヴィッツ(Andreessen Horowitz/a16z)などの業界を代表するベンチャーキャピタルが出資しており注目を集めています。
2020年9月にはメインネットを公開し、本格的な稼働を始めています。
2021年4月に流動性マイニング機構「アバランチ・ラッシュ(Avalanche Rush)」を実施したことで$AVAXの価格が急上昇し、プロジェクトとしても大きな注目を集める様になりました。

■PJ名称 アバランチ/Avalanche
■暗号資産 $AVAX
■公開時期 2020年9月メインネット公開
■開発組織 Ava Labs
■チェーン アバランチ・チェーン
■承認方式 アバランチ・コンセンサス(PoS系)
公式ホームページ

イーサリアムが抱える問題

イーサリアムの登場によって分散型金融(DeFi)NFTなどブロックチェーン技術を使った様々な新しいサービスが生まれ、暗号資産の世界が大きく拡がりました。
ただイーサリアムでは、急激に取引が増加した事によって処理能力以上に取引が集中し、ネットワークの遅延や送金手数料(ガス代)の高騰を引き起こす、いわゆるスケーラビリティという問題が深刻化して行きました。
そうした状況の中でイーサリアムと同様の機能を抱えながらも遥かに高い処理能力を持つブロックチェーンを開発して市場のシェアを奪おうとするプロジェクトがいくつも出現しました。
ソラナ(Solana)カルダノ(Cardano)バイナンススマートチェーン(BSC)などのブロックチェーンは「イーサリアム・キラー」と呼ばれ、既に大きな勢力を築いています。
アバランチ(Avalanche)もそうした勢力の1つで、2021年に大きな成長を果たしたプロジェクトです。

アバランチの特徴

アバランチの特徴・メリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主な特徴としては以下の項目が挙げられます。

●分散型アプリケーション(dApps)用のプラットフォーム
●高速で低コストなブロックチェーン
●マルチチェーンに対応
●独自のブロックチェーンを作成できる
●3つのブロックチェーン
●業界を代表するベンチャーキャピタルが投資している

分散型アプリケーション(dApps)用のプラットフォーム

アバランチは分散型のアプリケーション(dApps)を展開するためのプラットフォームです。
スマートフォンのiPoneやアンドロイドで様々なアプリが展開されている様に、アバランチのネットワーク上でアプリを展開する事ができます。
但し”分散型”なので管理者はおらず、アバランチのネットワークに決められた手順に沿ってアプリを乗せれば自動的に稼働する仕組みになっています。
分散型アプリケーション用のプラットフォームという特性こそがイーサリアムなどのブロックチェーンが持つ大きな機能であり、アバランチがイーサリアム・キラーのプロジェクトの1つに挙げられる要因です。

高速で低コストなブロックチェーン

アバランチ(Avalanche)は高速で低コストな取引が可能なブロックチェーンです。
アバランチでは独自の並列ブロックチェーン構造と、マイニングを必要としない取引の承認方式を組み合わせる事によって、1秒間に4,500件という圧倒的な処理能力を実現しています。
この処理能力はビットコインやイーサリアムなどとは全く桁が違う水準であり、クレジットカード大手VISAの処理能力(約1,700〜1,800件/秒)をも大きく上回ります。
アバランチでは、処理速度に大きく関わる取引データの承認方式に「アバランチ・コンセンサス」と呼ばれる独自の方式を採用しています。
アバランチ・コンセンサスPoS方式(Proof of Stake)という承認方式を更に発展させたもので、この方式によって高速でありながら分散性が確保され、更に低コストなネットワークを実現しようとしています。
アバランチの取引データ承認に参加するには2,000AVAX以上を保有し、ネットワークに預け入れる必要があります。
承認作業に参加すると報酬として$AVAXを獲得する事ができます。

マルチチェーンに対応

アバランチのブロックチェーンは、イーサリアムを始めとする他のブロックチェーンとの相互運用性を持っています。
アバランチは2021年7月にクロスチェーン技術「アバランチ・ブリッジ(Avalanche Bridge/AB)」を実装・公開しました。
この技術によってイーサリアムの規格(ERC20規格)で発行されたコインをアバランチ・チェーンに移動させる事が可能になりました。
イーサリアムのアプリケーションを動かすための機能(EVM)がアバランチにも実装され、イーサリアム用に開発されたアプリも容易に動かす事が可能です。
イーサリアム系ウォレットの代表格「メタマスク」もアバランチで利用可能です。
イーサリアムで使われているプログラミング言語であるSolidityにも対応しています。
アバランチはイーサリアム以外のブロックチェーンを繋ぐブリッジも順次構築して行く予定です。

独自のブロックチェーンを作成できる

イーサリアムは独自の暗号資産(トークン)を発行できる機能が組み込まれ、衝撃を与えました。
実際この機能を利用して多くの暗号資産が生まれています。
アバランチでは更に進化してブロックチェーンを作成する機能を組み込んでいます。
アバランチでは誰でもサブネット(Subnet)と呼ばれるネットワークを構築し、その中に独自のブロックチェーンを作成する事ができます。
ブロックチェーンを1から構築するのと比べて、遥かに容易で信頼性も担保しやすくなります。
最近の例でも、メタバース・プラットフォームのザナ(XANA)がアバランチの機能を利用して独自のブロックチェーン(XANAチェーン)を開発しています。

3つのブロックチェーン

アバランチは実は1つのブロックチェーンでは無くXチェーンCチェーンPチェーンという3つのブロックチェーンで構成されています。
一般的なブロックチェーンでは1つの中に組み込まれている機能を分割し、各機能に特化したブロックチェーンで稼働させる事で最適化を図っています。
3つのチェーンをプライマリーネットワーク(Primary Network)というサブネットで管理する仕組みになっています。
アバランチの暗号資産$AVAXは3つのブロックチェーン全てで稼働する事ができます。

Xチェーン(X-Chain)

Xチェーン(Exchange Chain)は通貨、決済機能に特化したブロックチェーンです。
Xチェーンは厳密にはブロックチェーンではなく、複数のブロックが繋がるDAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる構造となっています。
DAGでは複数の取引の並列処理が可能となるので、取引処理の速度が格段に上がります。

Cチェーン(C-Chain)

Cチェーン(Contract Chain)は、分散型のアプリを稼働させるのに必要なスマートコントラクト機能を組み込んだブロックチェーンです。
分散型アプリ(dApps)を展開する際にはCチェーンを使用します。
イーサリアムでアプリケーションを動かす為の機能であるイーサリアム仮想マシン(EVM)を実装しています。

Pチェーン(P-Chain)

Pチェーン(Platoform Chain)はアバランチのサブネットの管理や、承認作業への参加者のデータなどを管理してるチェーンです。

大手ベンチャーキャピタルが出資

アバランチのプロジェクトにはアンドレッセン・ホロヴィッツ(Andreessen Horowitz。通称a16z)やポリチェーン(Polychain)といった、暗号資産・ブロックチェーン業界を代表するベンチャーキャピタルが出資しています。

アバランチの活用事例

既にアバランチの活用事例が続々と生まれています。

●パンゴリン(Pangolin)

2021年に運営を開始した、アバランチとイーサリアム系資産を扱うコミュニティ主導の分散型取引所(DEX)です 。
独自コインの$PNGの他、ペンギントークンなどのかなりレアなコインも取引されています。

●BENQI

BENQIは分散型金融(DEX)のアプリケーションです。
流動性資産を提供して利益を得る事ができます。
貸付サービスも展開していて資金を借りる事もできます。

●トップス(Topps)

Toppsはスポーツ系NFTに強みを持つNFT市場(マーケットプレイス)です。
北米のメジャーリーグベースボール(MLB)やドイツのブンデスリーガ(プロサッカーリーグ)のNFTコレクションなどを展開しています。

●キンタナ・ロー州議会(メキシコ)

メキシコ東南部にあるキンタナ・ロー州の州議会では、立法に関する文書のデジタル証明にアバランチのチェーンを利用しています。

アバランチの問題点

一方、アバランチの問題点・デメリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主なものとしては以下の項目が挙げられます。

●類似プラットフォームとの競争

類似プラットフォームとの競争

アバランチの様な「分散型アプリケーションを構築できるプラットフォーム」という分野はブロックチェーンの業界でももっともホットで競争の激しい市場だと言えます。
今尚この分野の圧倒的な王者であるイーサリアムを始め、カルダノ、ソラナなど競争相手を挙げていくとキリが無いほどです。
強力なライバル達との競争に打ち勝って確固たる地位を築く事が生き残るための条件となります。

まとめ

アバランチは21年に大きな飛躍を果たしたプロジェクトです。
高度な技術を駆使した複雑なシステムを構築しているだけに、その実現性を不安視する意見もありましたが、着実な進捗を見せています。
アバランチを使ったサービス、アプリケーションがこれから続々と生まれてくると考えられます。
アバランチのプロジェクトや、暗号資産の$AVAXに注目しておくのも悪くないと思いますよ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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