99%以上⁉の大暴落を引き起こしたTerra(LUNA)。時価総額上位の暗号資産に何が起きたのかを解説。

暗号資産(仮想通貨)
スポンサーリンク
スポンサーリンク

メジャー暗号資産のパニック

韓国発のテラフォーム・ラボ(Terraform labs)が開発し、時価総額のトップ10に名を連ねるほどの勢力となっていた暗号資産のTerra(LUNA)が2022年5月に突如暴落し、価格がわずか数日で99%以上も下落するというパニック状態に陥りました。
LUNAを展開するテラ・プロジェクトは充実した投資スキームを展開しており、まとまった資金を入れているユーザーも多かっただけに混乱が広がっています。
その後大手取引所バイナンスでの上場廃止決定、更には一転して事業再建支援発表など短い期間の間に事態は二転三転しています。
LUNAとはどの様な暗号資産なのでしょうか。
何が起こり何故こうしたパニックを引き起こしてしまったのか、その状況をお伝えします。

LUNA

LUNAは、2018年に立ち上げられた韓国発のプロジェクト「テラ(Terra)」によって開発された暗号資産(仮想通貨)です。
Terra(LUNA)あるいは$LUNAと表記される事もあります。
2021年の年初の段階では2.6兆円の時価総額を誇り、時価総額ランキング9位につける有力コインでした。

■PJ名称 Terra
■通貨略号 LUNA
公式サイト

暗号資産LUNAの詳細については別の記事を参照願います。

またTerraのプロジェクトについてはこちらを参照下い。

99%以上の下落

このLUNAの価格が突如として暴落を起こします。
LUNAは2022年5月7日の開始時点では1万円を上回る価格を付けていたのですが、同日に8,000円台に下落すると、その後は終値で

・5月 9日 4,172円
・5月10日 2,284円
・5月11日  139円

と下がり続け、12日には0.4577円へと落ち込んでしまいました。
実に99%以上の大幅な下落です。
LUNAの暴落にはLUNAと密接な関係を持つステーブルコイン、TerraUSD(UST)の下落が絡んでいます。

TerraUSD(UST)の下落

5月10日、米ドルの価格と連動する様に設計され、LUNAとも連携するステーブルコインTerraUSD(UST)の価格が下落しました。
本来1USR≒1USTである筈のUSTの価格がずるずると下がり、5月10日には0.6ドル付近まで落ち込みます。
発端は5月7日から8日にかけて、テラフォーム・ラボが展開するAncorという投資プラットフォームから大量のUSTが出金されて大量の売却が発生し、2%ほどの価格の乖離が発生した事です。
USTが下落するとLUNAの発行枚数が増える設計になっている事からLUNAの価格も下がったのですが、この時に価格が想定以上に下落してしまい、10日にはLUNAの時価総額がUSTを下回る事態になってしまいます。
LUNAとUSTの価格の信頼性が崩れてしまった事になり、この結果LUNAとUSTの双方が大幅な価格の下落を引き起こしてしまったのです。
テラフォーム・ラボ側が担保資産にビットコインを組み入れる防衛策を実施した事で、一旦はUSTの価格が0.9ドル台まで回復しますが、売り圧に押されて翌11日には0.3ドルまで下落します。
13日にはUSTの価格が0.2ドル前後まで落ち込み、ステーブルコインとしての機能を完全に失ってしまいました。

テザーとは異なる設計

ステーブルコインはドル、ユーロといった法定通貨などと価格を連動させたコインです。
テザー(USDT)などのステーブルコインは、米ドルとの連動であれば発行するコインと同量の米ドルを確保する事で価格の信用を担保しています。
いつでも米ドルと交換できますよ、とする事でドルと同等の価値を持つと信用してもらえる訳です。
これに対してTerraUSD(UST)は、LUNAの価格と需給をリンクさせる事によって価格が安定する様に設計されています。
USTの価格が維持できなくなった事でLUNAの価格の根拠が無くなり、LUNAの更なる価格下落が引き起こされる結果となりました。

バイナンスが上場廃止を表明

LUNAの大暴落を受けて世界最大の暗号資産取引所、バイナンスは13日にLUNAの上場廃止を発表しました(その後取引を再開しています)。
バイナンスはグループ企業のバイナンス・ラボを通じてテラ・プロジェクトにも投資をしていただけに暗号資産市場やユーザーに与えたインパクトは大きく、LUNAの凋落を印象付けました。
LUNAやUSTを上場している他の取引所も相次いで上場廃止を表明しました。

韓国では社会問題化

韓国発最大の暗号資産として認識され、高い人気を誇っていた韓国では、LUNAに投資していたユーザーも多く、LUNAショックの影響は一際大きいものとなっています。
SNSやネットコミュニティでは損失額を公開する投稿が相次いでいます。
LUNAやUSTらを展開するテラフォーム・ラボのクォン・ド(Do Kwon)CEOの元には脅迫紛いのメッセージが届く様になり、ソウルにあるクォン氏のマンションに男性が無断侵入するなどの事件も発生、クォン氏とその配偶者が韓国警察の身辺保護対象者に指定される事態になりました。

新LUNAへの移行

5月14日、クォン氏はLUNAの「リバイバルプラン」をTerraのネットフォーラムに公開しました。
Terraのブロックチェーンを基に新たにコインを発行するという内容で、これによってLUNAやUSTの暴落前(クォン氏の表現では「攻撃開始前」)の保有者達が引き続きTerraのエコシステムに留まることを期待するとしています。
続いて5月17日、クォン氏はLUNAやUSTなどの基幹ブロックチェーンであるTerraチェーンの「リバイバルプラン プラン2」を提案しました。
新たにTerraチェーンを作成してブロックチェーンを再構築し、既存のTerraチェーンはTerra クラシック、既存なLUNAはLUNA クラシック(LUNC)に変更。LUNAクラッシックの保有者には新たに発行されるLUNAを無料配布(エアドロップ)するというものです。
但し20日になってクォン氏は無料配布の内容を一部修正します。
特に大きいのは、旧LUNAの1万LUNA以下の保有者に対しては、まず30%分の新LUNAが配布され、残りの70%はその6か月後から2年間に分けて配布するとした事です。
ユーザーにとっては資産の制約が増える事を意味し、LUNAの暴落を目の当たりにした後だけに不安視する声もあがっています。

今後の見通し

多くのLUNA保有者、UST保有者を絶望へと叩き落とした今回の暴落劇ですが、実は反対にLUNAを底値で拾って大きな利益を手に入れた人もいます。
新LUNAの価格が暴落前の最高値まで戻るかについては何とも言えませんが、リバイバルプランが軌道に乗れば価格が上昇していく事は考えられます。
この辺りはバイナンスを初めとする多くのファンドが支援しているプロジェクトの強みと言えるかも知れません。
いずれにしても投資対象としては上級者向けの内容となります。
財産を預けて無価値同然の価値になる可能性もある事も十分に理解して判断するべきです。
もちろん実際の投資は御自身の判断、自己責任にてお願いします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました