カザフスタンの混乱でビットコインが下落⁉その背景と今後の見通しを解説。

各国の状況
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ビットコイン価格への影響

中央アジアの新興国・カザフスタンで2022年に入って政府への抗議活動が拡大し、国内の混乱がビットコインや暗号資産(仮想通貨)全体の価格に大きな影響を与える事態を引き起こしています。
日本では余り認知度が高いとは言えないカザフスタンという国の情勢が何故暗号資産の価格に深刻な影響を与えているのでしょうか。
カザフスタンの混乱と暗号資産の市場に与える影響、今後の見通しについて解説します。

カザフスタンで起きた暴動

2022年1月2日、カザフスタンで燃料価格の引き上げに対する抗議活動が起こり、瞬く間に最大都市アルマトイを含む各都市に抗議活動が拡大しました。
国民の間には30年近く続いたナザルバーエフ前大統領の政権運営や格差拡大への不満が根底にあり、それが燃料価格引き上げを機に爆発した形です。
カシムジョマルト・トカエフ大統領は内閣総辞職を宣言し事態の収拾を図りましたが事態は沈静化しません。
また抗議活動を続ける市民に対し、トカエフ大統領は軍や治安当局に警告なしに発砲する命令を出しました。
更に政府の要請を受ける形でロシアを中心とする軍事同盟(CSTO)の部隊がカザフスタンに派兵されました。
国営テレビから報道によると1月9日までに164人もの死者を出し、5,000人以上が当局に拘束されています。

ビットコインの価格が下落

この暴動に際してカザフスタン政府は非常事態宣言を発令し、インターネットを含む通信を遮断しました。
この対応によってカザフスタン国内にあるマイニング工場(マイニングファーム)はマイニング停止に追い込まれマイニング参加者が急減、ビットコインの価格が大きく下落する原因となってしまいました。
カザフスタンが何故ビットコインの価格にこれほどの影響力を持っていたのでしょうか。
そこにはカザフスタンが昨年後半にかけて急速にマイニング大国となっていった経緯があります。

カザフスタン共和国

カザフスタン共和国は中央アジアに位置する日本の約7倍の広い国土面積を持つ国です。
石油や石炭、天然ガスといったエネルギー資源に恵まれた資源大国で、輸出品もエネルギーや鉱物資源が大半を占めています。
旧ソビエト連邦の構成国の1つであった歴史的経緯から、現在でもロシアと政治的、経済的に深い関係を持っています。

■国名 カザフスタン共和国
■英語表記
 Republic of Kazakhstan
■面積
 272万4,900k㎡平(日本の約7倍)
■人口 1,900万人*
■首都 ヌルスルタン(旧アスタナ)
■言語 カザフ語(ロシア語が公用語)

*2021年国連人口基金データによる

中国のマイニング規制

2021年9月、中国で暗号資産(仮想通貨)に対する規制を大幅に強化する通達が出されました。
同年5月の規制に続く通達で、今回は暗号資産の取引に加えてマイニング(採掘)も全面禁止という厳しいものでした。
それまで中国は世界最大のマイニング大国として君臨し、多くのマイニングを事業として展開する業者が中国国内で事業を展開していましたが、当局の規制強化によって一斉に国外への移転を余儀無くされます。

マイニング大国カザフスタン

カザフスタンは石炭などの豊富な資源を背景に電力が豊富で電気料金が安い国という強みを持っていました。
2021年6月には南部のジャンブル州で中央アジア最大級・最大出力100メガワットという風力発電所が完成するなど自然エネルギーでの発電拡大も視野にいれた開発が進んでいました。
加えて寒冷で湿度も低いという気候を持ち、膨大な熱を生じるビットコインのマイニングに最適な土地と考えられました。
中国の規制を機にマイニング業者の進出は加速し、2021年11月時点ではカザフスタンが米国に次いでビットコイン・マイニングの世界第2位のマイニング大国に躍進していました。

一転電力不足に

但し余りに急激なマイニングの拡大は当然の事ながら国内の電力供給を圧迫し、カザフスタンは一転電力不足に陥ります。
11月、政府は国内の電力不足に対応する為、無認可のマイニング業者に対する電力供給を規制・停止する方針を打ち出しました。
暗号資産マイニングを国の重要な産業と位置付けながらも電力供給を制限する必要に迫られた訳です。
そうした電力需給の逼迫が起きている中で燃料価格の値上げが決まり、大規模な抗議運動へと繋がっていった訳です。

混乱収束の見通し

カザフスタン国内の混乱はロシアの後ろ盾を得た政権側の強行姿勢により、良し悪しは別として収束に向かうと見られています。
元々カザフスタンは中央アジアでは政治的に安定している国と見られていた国ですが、トカエフ大統領は政権基盤の立て直しを急ぐ事になります。
インターネット環境が正常化すればマイニングは随時再開されると見られます。
マイニングはSNSなどとは違って国家検閲の対象にならないので再開は時間の問題と考えられます。
マイニング業者の一部は国外への移転を計ると考えられますが、それはマイニングが落ち着いてからの次の段階の話になるでしょう。
またカザフスタン国内では抗議活動後に政治的混乱の勃発も考えられますが、誰が政権を取るにしてもマイニングが国家にとって重要な新興産業である事は変わりません。
こうした要素を勘案すると、カザフスタンの混乱を理由にした下落要因は縮小していくと見られます。

まとめ

カザフスタンの国内事情がビットコインの価格に大きく影響を与えるという状況はなかなか想定しにくい事態ですが、今後の展開を推測する事はある程度可能です。
カザフスタンの武力による制圧は望む方向とは言えませんが、国民の皆さんが穏やかに暮らせる日が早く戻る事を願っています。
その上でビットコインにも良い影響を与えるのであれば嬉しいですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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