ネム(XEM)とシンボル(XYM)の歴史を辿る

暗号資産(仮想通貨)
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ネム/シンボル

2021年3月、ネム(NEM)の大型アップデート版と位置づけられるシンボル(Symbol)が運用を開始し、ネムシンボルの2頭体制がスタートしました。
更に2021年11月にはシンボルの仕様変更「キプロス」、ネムの「ハーロック」が実装され、ネム/シンボルは新たな段階へと進んでいます。
ここで一度ネム/シンボルの歩みを振り返ると共に今回の仕様変更(ハードフォーク)が切り開く世界について解説しておきます。
正直、ネム/シンボルは日本のコミュニティが熱く詳しい人も多いので、余り偉そうに解説したくは無いのですが、一般の方にも分かりやすく伝えるものも必要だと思うので紹介させて貰います。

ネム

ネム(NEM)は2015年に公開されたブロックチェーンプロジェクトです。
NEMというプロジェクト名は「New Economy Movement」の頭文字を取ったものです。
新しい経済のムーブメントという意味ですね。
ネムのネットワークで使う暗号資産(仮想通貨)が「XEM(ゼム)」になります。
ただ一般の人には暗号資産の名前としてもネムの名前で知られています。
本記事ではXEMまたはネム(XEM)という表記を使っています。

ビットコインへのオマージュ⁉

ネムの歴史は2014年1月19日、bitcointalkというインターネットフォーラムに「utopianfuture」というハンドルネームの匿名人物が発表したことで始まります。
ビットコインの始まりを強く意識したスタートに思えますね。
それから1年余り経った2015年3月31日に暗号資産XEMが公開されました。
XEMの総発行枚数は約90億XEM(8,999,999,999XEM)と設定され、全数が最初に発行されました。
XEMはネムコミュニティの1,600人(1,600アカウント)に配布されました。
現在の価値で考えれば大変なエアドロップが行われたことになりますね。
因みに最初に付いた段階ではネムの価格は1XEM=0.2円程でした。

NEM財団の設立

2016年12月にはシンガポールを本拠地とするNEM財団(NEM.io Foundation Ltd.)が設立されます。
NEM財団は世界に向けてNEMブロックチェーン技術の普及・促進活動を行う様になります。
NEM財団は4人の創業メンバーと6人の理事が選出され、ネムの開発にも影響力を持つ存在となりました。
NEM財団の理事には、暗号資産取引所Zaifを運営するテックビューロ社(当時)の朝山貴生CEOも2017年6月に選出されています。

日本でいち早く人気に

朝山氏が率いる国内取引所のZaifコインチェックなどが早くからXEMを取り扱っていたこともあって、日本はネム(XEM)の人気が非常に高い国になりました。
2018年には日本でも一般社団法人NEM JAPANが設立され、こちらもNEM財団同様にネム普及のための活動を進めました。

2017年のXEMの価格高騰

2017年にはビットコインを筆頭とする仮想通貨ブームの波にも乗ってネム(XEM)の価格も上昇します。
XEMの価格は3月に1円を突破すると12月には50円を超え2018年1月4日には、一時価格が240円にまで達しました。

ネム流出事件

しかしながら2018年1月に国内大手の交換業者コインチェックでネム(XEM)が大量流出する事件が発生します。
コインチェックのシステムが何者かにハッキングされ、当時のレートで約580億円にも相当する量のネム(XEM)が外部に流出してしまったのです。
今回の事件は業界のみならず一般のニュースでも連日報道されたので広く知られることになりました。
流出事件はあくまで交換業者(取引所)側のセキュリティの脆弱性を突かれたもので、ネム(XEM)のブロックチェーン技術に欠陥が有った訳では無いのですが、ネム(XEM)の価格は急落しました。
更に他の有力コインの価格も大幅に下落し、暗号資産は冬の時代を迎えます。

NEM財団の危機

ネム(XEM)の暴落を受けてNEM財団の財政も逼迫し、財団解散のニュースが流れる事態となりました。
財団側はこれを否定しましたが、ネムの開発チームや財団が動揺していたことは事実のようです。
ネム(XEM)の価格は1XEM≒4円にまで落ち込み、資金面で苦しい状況に置かれた事は確かでしょう。
しかしながら暗号資産全体が低迷する間もネムは開発を着実に進め「New Economy Movement」を実現するための準備を続けていました。
2020年になってネムは冬の時代を抜け出すことになります。

Symbolプロジェクトの発表

2020年1月10日、ネムは「カタパルト」の名称で進められていた大型バージョンアップ計画の正式名称を「シンボル(Symbol)」とすることを発表しました。
また同21日にはシンボルで発行される新しい暗号資産の名称をジム(XYM)と定めることを明らかにしました。
2020年は暗号資産市場の回復に加えてシンボルの進捗への期待も加わって、ネム(XEM)の価格は少しずつ上昇に転じます。
年後半には10円を超え、20円台にも乗せる様になりました。

NEMグループ発足

シンボル・プロジェクトと並行してネムとシンボルの組織も変革が進められます。
2020年6月、ネムは関連組織を再編成した新組織「NEMグループ(NEM Group Ltd.(略称NGL))を発足させました。
NEM財団NEMスタジオNEMベンチャーズがNEMグループに統合されて、NEMグループの傘下にNEMトレーディング、 NEM ベンチャーズ、NEMソフトウェアが置かれる形になりました。

シンボル(XYM)の無料配布

シンボルはネムの大型バージョンアップという位置づけという事は前述した通りなのですが、シンボルの暗号資産XYMはネム(XEM)とは別に発行されて2つのコインが併存する形になります。
新通貨XYMは、ネム(XEM)の保有者がXYMの受取を表明して指定の日に対象ウォレットにXEMを保管しておくと、確認されたXEMと同数のXYMが付与される形で配布されることになりました。
多くのユーザーは取引所(交換業者)にXEMを置いていましたが、発表の時点ではシンボル(XYM)配布に対応すると表明していた国内業者はありませんでした。
そのため多くのネム(XEM)ホルダーが実際にシンボル(XYM)が配布されるのかについて不安を抱えていましたが、結果的には国内交換業者の殆どがシンボル(XYM)の配布に応じる形になりました。

シンボル(XYM)は以下の手順でネム(XEM)ホルダーに配布されました。

●オプトイン(受け取る意思の表明)
●スナップショット(保有XEM数の確認)
●エアドロップ(無料配布)

オプトイン

オプトインは、ネム(XEM)の保有者が新しいコイン(XEM)を受け取る意思があることを示す申請です。
NEMグループ(NGL)は2020年9月にオプトインの受付を開始しました。
ネム(XEM)を取り扱っている国内の交換業者(取引所)も、配布の可否は未決定なまま、その殆どがオプトインを実施しています。

スナップショット

スナップショットはNEMグループ側が対象ウォレットのXEMの数量を確認する作業です。
XEMのネム(XEM)のブロックが3,105,500に到達した時点とアナウンスされ、2021年3月12日、でスナップショットが実施されました。
この時点で対象のウォレットにXEMを入れて置くと数量を確認され、後日同数とXYMが配布されるという形です。

エアドロップ(配布)

2021年3月、シンボル(XYM)が稼働を開始しました。
オプトインをしてスナップショットを実施したウォレットに対して、スナップショット時点で保管していたXEMと同数のXYMが配布されました。

ZaifがXYMを上場

シンボル稼働後、個人で対象ウォレットを用意してオプトインを行ったユーザーには早々にXYMが配布されましたが、取引所にネム(XEM)を保有していた多くのユーザーはなかなかXYMを受け取ることができませんでした。
交換業者(取引所)がオプトインを実施していたとしても、交換業者が新しいコインXYMを配布するにはXYMを取り扱う必要があります。
しかしながら日本国内の交換業者が扱うコインは、金融庁の認めるコインのリスト(通称「ホワイトリスト」)に登録される必要があります。
シンボル(XYM)を取り扱うためには、まだ何も実績の無い新しいコインを金融庁に認めさせてホワイトリストに載せて貰うという難題をクリアしなければいけません。
それでもこうしたハードルを乗り越え、2021年5月にZaifがXYMの取り扱いと配布を実現しました。
以後、日本の暗号資産市場でも本格的にシンボル(XYM)が動き出しました。

大手取引所に上場

シンボル(XYM)を取り扱い業者は確実に増え、GMOコインbitbankサクラエクスチェンジなどが既に扱いを開始し、コインチェックも2022年3月までに取り扱いを始める方針を示しています。
但しビットフライヤーは2021年12月6日時点で取り扱い計画を明確にしていません。
海外でもKuCoin、Poloniex、Bittrexといった大手取引所に上場されています。

キプロスとハーロック

2021年末、ネム/シンボルは大きな転機を迎えます。
ネムとシンボルがそれぞれ大きな仕様変更(ハードフォーク)を実施したのです。
ネムの仕様変更には「ハーロック」、シンボルの仕様変更には「キプロス」という名前が付けられ、開発が進められていました。
11月にはネムに先行してシンボルの仕様変更「キプロス」が実施され、無事に成功を納めます。
その後速やかにネムの「ハーロック」も実装される予定だったのですが一旦停止し、12月1日に完了がアナウンスされました。
仕様変更の成功によってネムとシンボルは新たな段階に進みました。
「ハーロック」と「キプロス」については別の記事で紹介します。
イーサリアムを始めとする大型暗号資産と本格的に競い、飛躍を果たそうとしています。
ネム/シンボルの今後の展開に目が話せません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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