Polygon(旧Matic Network)とは⁉イーサリアム経済圏を席巻するプロジェクトを解説

ブロックチェーン
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Polygon

Polygon公式サイトより

Polygon(旧Matic Network)はイーサリアムのスケーラビリティ問題に焦点を当てた「レイヤー2ソリューション」といわれるタイプのプロジェクトです。
イーサリアムを利用しているユーザーにとっても利用価値の高いものです。
こうしたプロジェクトはいくつも存在するのですが、Polygonはその「本命」とも目され注目を集めています。
更に単なるスケーラビリティ問題の解決だけでは無く、Polygon自身もプラットフォームとして存在感を放ち始めてもいます。
そしてこのPolygonのシステムで使われるトークンがMATICです。
MATICトークンについては別の記事を参照下さい。

■PJ名称  Polygon(旧Matic Network)
■PJ区分  レイヤー2ソリューション
■通貨記号 MATIC
■開発開始 2017年
■承認方式 PoS
■公式HP  https://polygon.technology/

New!SushiSwapでの採用

2021年5月、Polygonは分散型取引所の大手SushiSwapとの提携を発表しました。
SushiSwapがPolygonネットワークに対応する様になった他、流動性マイニングも実施されました。
流動性マイニングはPolygonとSushiSwapが共同で実施するもので、3000万ドル(約32億円)の規模で5月7日から実施されています。
SushiSwapに限らず、分散型金融(DeFi)分野のPolygon対応サービスが目に見えて増加しています。

インド発のプロジェクト

Polygonは元はMaticNerworkという名前で、2017年にインドで始まったプロジェクトです。
インドのビットコインコミュニティで中心的な存在だったJaynti Kanani氏Sandeep Nailwal氏とコンサルタントのAnurag Arjun氏の3人がマティック社(Matic Network Ltd.)を共同創業し、開発を進めています。
2020年にはメインネット(独自のブロックチェーン)を公開し、翌2021年2月にはプロジェクトの名称をMaticNerworkから「Polygon」へと変更しています。
プロジェクトの目的も単にスケーラビリティ問題を解決するものから、他のサイドチェーンなどと連携できるプラットフォームを目指すものへと範囲を拡大しています。
但しプロジェクトの名称は変わってもコインの名称はMATICのままで受け継がれています。
Polygon(MATIC)と表記されたりするのはそのためです。

バイナンスでIEOを実施

MaticNerwork(現Polygon)は、世界的な仮想通貨取引所のバイナンスが提供する「ローンチパッド」というプラットフォームを使って2019年4月にIEOを実施しました。
IEOはコイン(トークン)の販売による資金調達のことで、ICOと同じですが、IEOには「取引所などが審査をした案件」という項目が加わります。
ローンチパッドはバイナンスが用意したIEOを実施するためのサービスにないます。
MaticNerworkはIEOによって560万ドル(約6億円)の資金を調達することに成功しています。

イーサリアムのスケーラビリティ問題

イーサリアムは、ブロックチェーンを使ったアプリケーション(DApps)を開発する際に世界中で最も利用されている基幹システムです(これをプラットフォームと呼んでいます)。
ブロックチェーンを使ってゲームやショッピング、金融サービスなどのさまざまなアプリを開発する時に、ブロックチェーンから独自で設計するよりはイーサリアムのブロックチェーンとアプリ開発機能を使って進めた方が遥かに効率が良く、開発コストも低いので、実に多くのアプリケーションがイーサリアムのチェーンを利用しています。
ただ余りにイーサリアムのネットワークの利用者が多くなってしまったことで、ネットワークが渋滞して手数料が高騰するという問題が深刻になってしまいました。
イーサリアムではネットワークを利用する際、具体的にはイーサリアム内の通貨イーサ(ETH)を送金する際に送金手数料が発生します。
イーサリアムでは送金手数料のことをgas代と呼んでいます。
元々gas代は非常に安価だったのですが、イーサリアムの処理能力を超えた取引量が集中してくると送金遅延が起こり、この解消に向けてgas代が上昇する仕組みになっています。
イーサリアムを利用したアプリケーションやトークンは増加を続けており、取引量が劇的に増えています。
その結果として2020年頃からは送金の遅延や手数料の高騰が常態化し、イーサリアムにとってもアプリケーションサービスにとっても深刻な問題となっていました。
これがスケーラビリティ問題です。

レイヤー2ソリューション

スケーラビリティ問題の解決するために、イーサリアム自身も大規模なアップグレードを計画しています。
ただ送金手数料はそれを受け取る側もいるために合意形成が簡単では無く、最終的にこの対応が完了するまでには数年掛かるとも言われています。
そこで、イーサリアムとは別の高速な処理システムに取引の記録を迂回させて渋滞を無くし、送金手数料も大幅に引き下げてしまおうといったプロジェクトがいくつも立ち上がりました。
これが「レイヤー2ソリューション」と呼ばれるもので、Polygonもその1つです。

Polygonの特徴

Polygonの特長、メリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主な項目としては以下の項目があげられます。

●スケーラビリティ問題を解消
●独自コインMATIC
●処理能力の高さ
●送金手数料の安さ
●セキュリティの確保
●イーサリアムとの互換性
●多くの採用実績がある

スケーラビリティ問題を解消

Polygonは元々プラズマ(Plasma)という技術を使ってスケーラビリティ問題の解消を実現しました。
プラズマ技術では、取引記録の処理をイーサリアムのブロックチェーン(メインチェーン)とは別のチェーン(サイドチェーン)で行い、結果のデータのみをメインチェーンに送ります。
更にPolygonではOptimistic Rollup、zk Rollupといった他の技術も利用可能になり、アプリケーション開発のプラットフォームとしても台頭してきています。

独自コインMATIC

PolygonではMATICというコイン(トークン)を発行しています。
イーサリアムにおけるイーサ(ETH)と同じように、Polygonのネットワーク内での送金手数料としてMATICを支払います。
またPolygonでは取引記録の承認方法にPoS(Proof of Stake)という方式を採用しています。
PoS方式ではコインをシステムに預けることで報酬を得られる仕組みがあります。
MATICトークンもステーキングによって利益を得ることができます。
仮想通貨・MATICトークンの内容については別の記事を参照下さい。

処理能力の高さ

Polygonは毎秒5万件という圧倒的な処理速度を誇っています。
取引記録をまとめたブロックも僅か2秒で生成されるので、実用性は格段に上がったと言えます。

送金手数料の安さ

Polygonのコイン「MATIC」はイーサリアムと比べて圧倒的に安価な送金手数料を実現しています。
取引時に発生する送金手数料は2021年4月の実績で0.002円とか0.003円という水準で、イーサリアム本体のネットワークで5000円とか1万円といった送金手数料の高騰を見せていたことと比べると次元の違う安さと言えます。

セキュリティの確保

レイヤー2ソリューションの多くは、イーサリアムのブロックチェーンとは別のチェーン(サイドチェーン)を用意し、そこで取引を高速で処理し、サイドチェーンの取引記録をイーサリアムのチェーンに定期的に記録することで整合性を保つ仕組みになっています。
そのためサイドチェーンのセキュリティが脆弱だと狙われる危険がありますが、Polygon(MATIC)では非常に高い水準のセキュリティを確保できています。

イーサリアムとの互換性

Polygonはイーサリアムのスマートコントラクトに対して互換性があります(EVM互換)。
そのためイーサリアムの自動契約がPolygon上でも有効になったりします。

多くの採用実績がある

Polygonはイーサリアムの規格(ERC規格)に対応する多くのウォレットに対応しています。
日本でもユーザーの多いメタマスクやトラストウォレットの他、Torus、Portis、Marhウォレットなどに対応しています。

またPolygonは非常に多くのプロジェクト、アプリケーションに採用されています。
AaveやSushi Swapではウォレットを接続する際に、イーサリアムのメインチェーンだけで無く、送金手数料が格段に安いPolygonのチェーンも選ぶことができます。
NFT関連のアプリケーションでも対応実績が目立ちます。
NFT市場大手のOpenSea、VR系のDecentraland、ブロックチェーンゲームのマイ・クリプト・ヒーローズ(マイクリ)などさまざまなプロジェクトでPolygonのブロックチェーンが利用できます。

Polygonの問題点

Polygonの問題点、デメリットとしてはどの様なものがあるでしょうか。
主な項目としては以下の項目があげられます。

●競合プロジェクトが多い
●イーサリアムのアップデート

競合プロジェクトが多い

イーサリアムのスケーラビリティ問題解決を目指すプロジェクトはPolygonだけではありません。
レイヤー2、サイドチェーンなど方法は色々ありますが、競合するプロジェクトが台頭してきた場合にユーザーを奪われる可能性はあります。
ただ現時点ではPolygonが主流・本命と見られており、簡単に取って代わられるとは考えにくいです。

イーサリアムのアップデート

イーサリアム自身がアップデートによってスケーラビリティ問題を解決し、Polygonの存在意義が薄れてくるという可能性も当然あります。
実際イーサリアムのコミュニティでは議論が続けられており、遅かれ早かれ問題の解消に向かうと見られます。
ただイーサリアムの送金手数料(gas代)は、それを受け取る側もいるので調整には時間が掛かると考えられます。
またPolygon自体もスケーラビリティ問題に特化したプロジェクトから独立したネットワークへと進化を続けています。
イーサリアムとの互換性が高い独立した経済圏をつくって行くものと考えられます。

まとめ

Polygonはイーサリアムの経済圏の中で、高速かつ低価格なサブネットワークとして日に日に存在感を増してきています。
Polygonのチェーンを使ったアプリケーションも続々と登場し、もはやPolygon自身が独立したプラットフォームとして認知されてきています。
今後はイーサリアムとの互換性の高い独立した経済圏として発展して行くことも予想されます。
既に実用性の高いプロジェクトでもあるので、Polygonを利用してみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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