2021.01.07.改訂
イオス(EOS)
EOS(イオス)は、ビットコインやイーサリアムなどの既存コインの能力を遥かに上回るスペックを有し、第3世代の暗号資産(仮想通貨)として発行前から大きな注目を集めていたコインです。
圧倒的な取引の処理能力や、送金手数料が発生しないシステムなど様々な魅力的な機能を備えています。
通貨単位はEOS。2021年1月3日時点で2,529億円の時価総額を誇り、時価総額ランキングの第16位につけるメジャーなコインです。
■PJ名称 EOS
■通貨名称 イオス (EOS)
■通貨単位 EOS
■通貨順位 16位*(前回第6位**)
■時価総額 2,529億円*(前回16,796億円**)
■通貨価格 270円*(前回739円**)
■発行枚数 10億EOS
■提唱者 ダニエル・ラリマー(Daniel Larimer)
■公開時期 2017年6月公開
■承認方法 DPoS(Delegated Proof of Stake)
(※順位、単価、 時価総額はCoinMarketCap 2021.01.03.発表データより集計)
(※順位、単価、 時価総額はCoinMarketCap 2019.06.20.発表データより集計)
一気にメジャーコイン入り
EOS(イオス)は開発チームが「機能も無く特典も無いトークン」と公言する中で販売されながら、公開されると一気に仮想通貨(暗号資産)の時価総額上位に躍り出た新進のコインです。
「世紀の錬金術」とさえ言われた異例の方法で巨額の資金を集めたEOSトークンは、この後最強のスペックを実装した仮想通貨(暗号資産) EOSへと無事に転換され、投資家の期待に応えました。
そして今やEOSは、暗号資産の王座さえ伺う存在として注目を集めるコインとなっています。
EOSとEOSIO
EOSはプロジェクトやプラットフォーム、通貨にアプリケーションとな構成要素が複雑に入り組んでおり、またどれも似たような名前が付いています。
もはやワザと分かり難くしているのでは無いかと疑いたくなるくらいですが、重要な部分なので最初に整理をしておきます。
●EOS :プロジェクトの俗称
●EOSIO :プラットフォームを動かすソフトウェア。
●EOSIO : EOSIOのソフトウェアを利用して運用されるプラットフォーム。
●EOS(旧EOS):ICOで販売されたトークン新EOSに変換されて現在は移動できない。
●EOS(新EOS):EOSIOプラットフォームの上で利用されるコイン
と言う事になります。 やっぱり分かり難いですね。
まずEOSと言うプロジェクトがあって、そのプロジェクトで開発してるプラットフォームがEOSIOです。
EOSIOはDApps(ブロックチェーン技術を使ったアプリケーション)の為のプラットフォームです。
更にそのプラットフォーム(EOSIO)の中で利用される暗号資産がEOSと言う関係になります。
プラットフォームについてはEOSと呼ばれる事もありますが、ホワイトペーパーによるとEOSIOで表記するのが正しい様です。
開発企業
EOSIOを開発しているのは2016年創業のBlock.one社です。
ブレンダン・ブルマー(Brendan Blumer)氏がCEO、ダニエル・ラリマー(Daniel Larimer)氏がCTOに名を連ねています。
ケイマン諸島に本社を置いていますが、世界中に拠点や従業員、アドバイザーを配置するグローバルな組織となっています。
但し開発ステージの終了後、EOSIOのソフトウェアはオープンソース・ソフトウェアとしてリリースされ、その後はBlock.one社ではブラットフォームの運用は行わないとアナウンスされています。
あくまで開発チームであって運営母体ではないと言う事ですね。
ブロックチェーン業界の最重要人物
EOSIOは、企業業務のサポートを目的とする分散型プラットフォーム(及びその為のソフトウェア)として開発が進められています。
2017年に開発がスタートした新しいブラットフォームでありながら、開発当初から非常に大きな注目を集めていました。
そのもっとも大きな要因はダニエル・ラリマー(Daniel Larmer)氏がCTOとして開発を率いるプロジェクトと言う事にあります。
ラリマー氏は、イーサリアムの提唱者ヴィタリック・プテリン(Vitalik Buterin)氏と並んでブロックチェーン業界の最重要人物の1人と見られている開発者であり起業家です。
ブロックチェーン技術を使ったサービスの開発やその実用化について、圧倒的な実績を残しています。
単一形プラットフォーム·サービスとして
●分散型金融プラットフォーム BitShares
●分散型のソーシャルメディア用プラットフォーム Steem
を送り出し、共に大成功を収めました。
またそれらを支える基盤技術である「DPOS (Delegated Proof of Stake) 」や「Graphane」 と言ったブロックチェーン技術を開発した事でも知られています。
経験豊富で既にいくつもの成功実績のあるラリマー氏が、より汎用な分野で使える分散型アプリケーションのインフラを整備を目指して開発を進めているのがこのEOSIOです。
EOSIOの開発の中で強調しているのは、このプラットフォームをビジネスレベルでも通用するものとする事です。
ビジネスレベルの要求
EOSIOは企業の業務サポートを目的とする分散型プラットフォームと位置づけられています。
つまり開発の最初の段階から、本格的なビジネスユースとして通用する水準を前提に開発されています。
要求されるレベルは高く、その為にEOSIOでは圧倒到的な処理能力と安全性の両立を実現しようとしています。
2017年に開催されたConsensus2017の場で、 ラリマー氏は秒間数百万トランザクションを処理できるプラットフォームを目指している事を示唆しました。
これは、このプラットフォーム上で動く暗号資産(仮想通貨)が、毎秒数百万件の取引処理能力を持つと言う事を意味してもいます。
リップルを超える処理能力
暗号資産の王者ビットコインのトランザクション能力は、元々は1秒間に7件と言う水準にありました。
世界中で1秒間に最大7件の取引(移動記録)しか記録できないと言う事になります (現在は1秒間に約14件)。
他のコインを見ても
●ビットコイン(BTC) 14件/秒
●イーサリアム(ETH) 15件/秒
●リップル(XRP) 4,000件/秒
と言った処理能力です。
これに対し、EOSIO上で動く暗号資産EOSのトランザクション処理能カは、参考値ながら実に数百万件/秒を記録しています。
処理能力の高さに評価が集まるリップル(XRP)と比較しても、全く違う次元を目指している事が分かります。
全てを1つに
ラリマー氏によれば、既存のサービスが抱えているトランザクション量は
●VISAカードとMasterカードで20, 000件/秒
●FacebookのLikeだけで秒間52, 000件/秒
1つの市場の金融取引だけで100,000件/秒と言った量が発生する事があり、こうしたサービスを1つのプラットフォーム上で動かす為には、数百万件/秒の能力を持つ必要があるとの事です。
ビットコインやイーサリアムの現状の処理能力では到底追いつかない事は明らかです。
現状でさえ、もビットコインやイーサリアムでは、取引引が集中して処理能力が追い付かず遅延が発生する「スケーラビリティ問題」が深刻な問題となっています。
EOSIOではこの問題に挑戦し、大量のトランザクションを処理できるプラットフォームの開発を進めています。
そして話が前後しますが、このプラットフォーム開発の資金を集める為に実施されたのがEOSのトークンを販売するICOと言う事になります。
トークンとは
トークンについては、技術的には既存の 仮想通貨(暗号資産) のブロックチェーン上に乗せて展開しているもの、がトークンと定義される事が多いですが、一般的な認識としては馴染んでいません。
現象的には、誰かが独自に発行したコインがトークンであり、 トークンが多くの人に認知され、取引所にも上場されて流通される様になると、 仮想通貨(暗号資産) として認識されて行く、と言うのが実体に近いと思います。
イーサリアム(ETH)も最初はICOで売りだされた訳で、その意味では仮想通貨(暗号資産)とトークンの境界線は非常に暖味です。
EOSのICOでは、独自に発行したEOSトークンを売り出した、と言う話になります。
EOSのICO
ICO(Initial Coin Offering)とは、独自トークンの新規発行・販売 による資金調達方法の事です。
EOSのICOのケースで言うと、EOSIOと言うプラットフォームを開発する資金が必要なので、EOSトークンを発行します、買って下さい!と言う話になります。
EOSのICOは2017年6月26日 から2018年6月まで1年間にわたり実施されました。
トークンの名称、単位名称は共にEOSとされました。
通常のICOは長くても数か月位の販売期間で行なう事が多いのですが、EOSのICOは異例の約1年と言う長期に渡って実施されました。
ICO用に発行されたEOSトークンは、イーサリアム (ETH)のスマートコントラクト機能を利用した規格であるERC20規格に沿ったトークンとして発行されています。
EOSトークンの総発行枚数は10億枚で、最初の5日間に総発行量の20%に当たる2億EOSが売りに出されました。
発行元のBlock.one社が10% (1億EOS)を保有し、残りの70%(7億EOS)は、以降23時間毎に200万EOSずつ市場に売りに出される事がアナウンスされました。
EOSトークンはイーサリアム(ETH)で購入します。
EOSのICOでは、固定された販売価格は無く、期間内にICOに応募して支払用のイーサリアム(ETH)を送付すると、23時間毎に送付額に応じてEOSが分配されると言う形です。
こうしてBlock.one社は、独自の仕組みによって、多くの人に広く平等にトークンを購入する機会を提供しようとしたのです。
機能のないトークン
更に大きな反響を呼んだのは、売り出されたEOSトークンの機能についての説明でした。
EOSのICOで販売されるEOSトークンは権利、用途、目的を持たないと公言した形で売り出されたのです。
しかもこのEOSトークンは、2018年6月1日のICO終了後、23時間で移転できなくなる事が明記されていました。
移転できないとなれば、欲しい人がいても譲渡する事ができまず、当然、売買もできなくなります。
「EOSトークンは何も利用価値の無いトークンです」と言いいながら堂々とトークンを販売したのです。
ICOの終了後、 EOSIOのプラットフォームが構築された時に、そこで独自のトークンを配布させる為には合計15%以上のEOS保有者からの承認を得なければならないという冬件が有る事から、その投票の権利は付与されると読み取れましたが、価値と言うには余りにも心もと無いものでした。
このまま集めたお金を持って行ってしまっても、詐欺としての立件が困難な程の大胆なやり方に、業界は騒然としました。
ICOは大成功
ところが蓋を開けてみるとEOSのICOは文句なしの大成功を納めます。
最初の18時間で1600万ドル(16億円)もの資金を集め、最終的には歴代最高の40億ドル(約4,300億円)と言う驚異的な金額を記録しました。
何の機能もないトークンを売って4,300億円もの資金を集めると言う、これまでのビジネスの常識を打ち破る革新的な事案となりました。
資金が集まった背景には、ラリマー氏を中心とする開発チームのこれまでの多大な実績への信頼と、EOSプロジェクトのビジョンに対する高い期待が有る事は間違いありません。
EOSコイン
ICOで販売されたEOSトークンは、イーサリアムの持つ機能(ERC20規格)で発行されたトークンでした。
これは、はっきり言ってしまうと誰でも発行できるレベルのトークンです。
EOSプロジェクトでは、トークンを売って集めた資金で、プラットフォーム開発と併せて、EOSのプラットフォームで動く強力なコイン(新EOS)の開発を進めました。
新しいEOSコインを作る為には資金も時間も必要なので、資金を集めるICO用のトークンは、割り切って簡単に発行できるトークンで、と言うのが開発側のえ方だったのです。
そして新EOSコインが完成した時には、旧EOSトークンと交換する形で発行すると言う構想だったのです。
言わば新EOSコインへの引換券を売りだした、と言う事ですね。
ICO終了後、ICO用の旧EOSトークンは、取引所に置いておけば自動的に新EOSコインへと転換されました。
これにより旧EOSトークンの保有者は、保有量と同量の新EOSコインを無事に手にする事になりました。
この転換によって初めて「機能の有る」EOSコインが姿を現しました。
開発チームはICO参加者(EOSトークン保有者) の期待を裏切る事無く、誠実な対応をみせたと言う事になります。
ユーザー側の開発チームへの信頼が更に強まった事は間違いありません。
暗号資産の誕生
新EOSコインは、技術的な定義で言うとERC20規格ではなく、独自のブロックチェーンを持っている為、トークンではなく 仮想通貨(暗号資産)と言う事になります。
本頁で新EOSトークンと表記しなかったのはその為です。
現象的にも、既に海外の有力取引所に上場され、盛んに取引されています。
多くの人が新EOSコインを有力な仮想通貨(暗号資産)の1つとして認識しています。
その為ここからは、新EOSコインを仮想通貨(暗号資産)EOS (EOS)として表記して行く事にします。
強力なトランザクション能力を持つ新世代の暗号資産EOS (EOS)の誕生です。
EOSの特長
こうして生まれた暗号資産EOS (EOS)は非常に魅力的な特長を持っています。
主な特長は
●圧倒的な取引処理能力がある
●手数料が発生しない
●効率的な合意形成システム
●電力消費が圧倒的に少ない
と言った項目があります。
圧倒的な取引処理能力がある
EOS(EOS)では、Dposと言う効率的なアルゴリズムと、非同期通信との並行処理を可能にするソフトウェア (EOSIO) によって、圧倒的な処理速度と安全性を確立しようとしています。
既にトランザクション処理能力は、参考値ながら数百万件/秒を記録するなど、桁違いの処理速度を実現しています。
手数料が発生しない
ビットコイン(BTC)に関わらず多くのコインでは、取引を処理する時、つまりブロックチェーンへの書き込みに対して手数料が発生する仕組みになっています。
インターネット上には無料のサービスが溢れており、取引毎に手数料が発生するシステムでは普及の足柳になる可能性があります。
ところがEOS(EOS)では、圧倒的な処理能力を持っているにも関わらず、トランザクションの手数料が掛かりません。
またイーサリアム(ETH)などではDApps(ブロックチェーン技術を使ったアプリケーション)を利用する時に手数料としてETHが必要になり、利用頻度が高いほど手数料負担が重くなっています。
それに対してEOS (EOS)ではDAppsの利用にも手数料が掛かりません。
これも EOS(EOS) の非常に大きな利点と言え、特にビジネスユースでは大きなアドバンテージとなります。
効率的な合意形成システム
ブロックチェーンの合意形成方法は、マイニングなどに直結する重要な要素です。
EOS (EOS)では、合意形成にDPoS (Delegated Proof of Stake)と呼ばれるアルゴリズムが採用されています。
DPoSは、暗号資産(仮想通貨)の次世代の合意形成方法の本命とも言われるProof of Stakeの一種です。
DPoS はラリマー氏が開発した技術であり、ラリマー氏が手掛けたBitSharesやSteemでも採用されている合意形成方法です。
EOSの保有者は、ブロックチェーンのブロックの作成者を投票によって選んで、ブロックの生成作業を委任(デリゲート)します。
委任された複数のブロック生成者が作業にあたります。
生成を行なう順番は委任された人達の間で調整され、15人以上の生成者の同意によって順番が決まります。
15人の生成者が生成されたブロックに署名するとブロックの内容は取消や変更が不可能になります。
これがDPoSの基本的な仕組みです。
この作業によって、EOS(EOS)では0.5秒毎にブロックが生成されます。
電力消費が圧倒的に少ない
DPosアルゴリズムではマイニング(採掘)作業が発生しません。
世界中のコンピューター(CPU) を稼働させる様な事が無い為、電力の消費量が圧倒的に少なくなります。
DPosアルゴリズムでは協調してブロック生成を行なう為、ビットコイン·キャッシュ (BCH)の様なフォークが起こる事は無いとも言われています。
EOSのデメリット
一方でEOS(EOS)のデメリットとしては、 どの様なものが考えられるでしょうか。
主なデメリットとしては
●国内の取引所では売買できない
と言う項目が挙げられます。
国内の取引所では売買できない
2019年7月現在、EOS (EOS)は日本国内の仮想通貨交換業者では取扱いがありません。
国内の取引所に上場していない仮想通貨(暗号資産)の中で最大の時価総額を誇るコインがEOS (EOS)と言う言い方もできます。
EOS (EOS)を購入したいとなれば、海外の取引所にアカウントを開設する必要があります。
反対に海外の取引所であればBINANCEやBitForexと言った大手取引所の殆どでEOS(EOS)を取り扱っています。
但し殆どの海外取引所では日本円で仮想通貨(暗号資産)を購入する事はできません。
通常はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの基軸コインを取引所に送金(入金)して、それで希望するコインを購入する流れになります。
EOSの動き
EOS(EOS)は2018年6月3日にメインネット(独自のブロックチェーン)に移行しています。
2018年10月 仮想通貨ウォレットのFreewallet が、全ての取引を無料でできる「EOSウォレット」を発表しました。
まとめ
機能の無いトークンとして売り出されたEOSトークンは、今や最強スペックを持つ暗号資産 (仮想通貨)に生まれ変わりました。
その能力はもちろん単なる通貨機能に留まるものではありません。
さまざまな機能を有するコインとしてはイーサリアム(ETH)が代表的ですが、EOS (EOS)はイーサリアム(ETH)の上位互換と言われる程の高い能カを持っています。
今後EOSIOのプラットフォーム上で動くアプリケーションが充実してくるに従って、EOS(EOS)も更に存在感を増してくると考えられます。
EOS(EOS)も更に存在感を増してくるものと期待されています。
ビットコインから仮想通貨(暗号資産)の王座を奪う本命、と考えている人も多い暗号資産EOS。
これからどの様なサービスが稼働してくるのか、 とても楽しみな存在です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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