観光地をNFT化する⁉
2022年に入って観光系イベントや投資イベント、あるいはNFTイベントなどで注目を集めている「ルーラNFT(RULAL NFT)」という日本発のNFTシリーズがあります。
ルーラNFTでは日本全国の観光地や城郭、酒蔵などの各地の観光資源をNFT化しています。
単に観光資源をNFT化するだけでは無く、さまざまな”仕掛け”を組み込むことでルーラNFTを盛り上げ、観光地を元気にしようという明確な目的を持ったNFTプロジェクトです。
ルーラNFTと共にルーラコインやルーラトークン(仮称)という観光特化型のコインも整備して、一体となって観光を盛り上げようという野心的なプロジェクトでもあります。
今回は株式会社ルーラが展開するルーラNFTのプロジェクトについて紹介します。
ルーラコインについては対象の記事を参照下さい。
ルーラNFT
ルーラNFTは、観光地横断型の地域デジタル通貨・ルーラコインを発行する株式会社ルーラが展開する『観光特化型NFT』シリーズです。
特定の地域や施設を対象にしたNFTは既にいくつか存在していますが、ルーラNFTは位置情報を活用して現地でしか購入できない仕様を組み込むなど地域性をより強化したNFTシリーズとなっています。
単純に観光資源をNFT化するだけでは無く、アニメキャラやご当地アイドル、地域のスポーツクラブとのコラボレーションも進めています。
既に2022年6月24日から一部地域(有馬温泉、飯坂温泉)でルーラNFTのテスト販売を開始しています。
■PJ名称 ルーラNFT
■発売開始 2022年6月24日
■発行会社 株式会社ルーラ
■チェーン Polygon(MATIC)チェーン
温泉むすめ
ルーラNFTの中で重要な役割を持っているのがオリジナル・キャラクター「温泉むすめ」の展開です。
温泉むすめはアニメや漫画、キャラクター、声優などを通じて全国の温泉地や地域の魅力を発信するために2016年にスタートした「地域活性化プロジェクト」です。
温泉むすめのキャラクターは、ルーラ社の関連会社である株式会社エンパウンドが手掛けています。
どれもとても可愛い女性的なキャラクターですが、制作側の発表によれば人では無く架空の神様とのことです。
数ある温泉地の中から既に約120の温泉について温泉むすめが生まれています。
それぞれの温泉むすめは著名なイラストレーターさんがキャラクターを描き、名前や詳しいプロフィールが設定されて、更に声優さんも決まっています。
例えば飯坂温泉なら飯坂真琴、キャラクターの原案は有坂あこさんで声は吉岡茉祐さんといった感じです。
ロイヤリティを取らないスタイル
温泉むすめは利益追求型のビジネスでは無く、関わる地域を本気で盛り上げて行こうとしているのが大きな特徴です。
各温泉地をモチーフとした二次元のキャラクターを創作して多方面に展開する一方で、温泉地側がキャラクターを使う場合にはロイヤリティ&ライセンス費用などの費用を無償で提供します。
一般的に事業者が製品などにキャラクターを使用する際には、制作費用の他にライセンス費用や販売数・販売価格に応じたロイヤリティ費用が発生し、煩雑な手続きも必要です。
温泉むすめでは、そうした諸々の費用を無償かつ簡易的な手続きで提供しています。
日本の民間企業のキャラクター事業では殆どこうした例は見られません。
温泉むすめのプロジェクトに乗るか乗らないかの判断も温泉地側に委ねられており、温泉地はプロジェクトへの参加も脱退も自分たちの意思で自由に行うことができます。
東京では買えない⁉
温泉むすめはあくまで各地域のキャラクターであるという立ち位置を明確にするために、温泉むすめの関連グッズは実は東京などの都市部では買えず、対象地域でのみ買える形になっています。
秋葉原辺りで大々的にグッズを売り出した方が手っ取り早く盛り上がりそうですが、そうしたスタイルは取らず、ネット販売も禁止しています。
現地でしか買えないというハードルを設ける事で温泉地を訪れる目的を増やそうとしているのです。
温泉地で販売する関連グッズも1業者1アイテムの取り扱いに制限し、温泉地内を回遊するように誘導しています。
こうした地域限定キャラクターの集合体である温泉むすめをNFT化したものがルーラNFTの核となっています。
但しルーラNFTでは温泉むすめのNFTだけでは無く、ご当地アイドルや地域のスポーツクラブなどにも枠を広げてNFT展開を進めます。
デジタルなのに現地でしか手に入らない⁉
温泉むすめの関連グッズがご当地でしか購入できないのと同じ様に、ルーラNFTもデジタルでありながら対象の観光地に行かないとNFTが入手できないという仕組みが組み込まれています。
ルーラNFTはスマートフォンなどの位置情報を利用して、対象エリア内にいないとNFTが発行されない設計になっています。
インターネット上のデジタルデータが持つ、どこにいてもアクセスできる、入手できるという特性を敢えて放棄し、新しい価値を生み出す非常にユニークな発想だと言えます。
ルーラNFTの購入方法
ルーラNFTを購入するにはルーラNFT販売店に行って専用のQRコードを読み込み、ルーラコインで購入するという手順を踏む必要があります。
何とも面倒ですが、この煩雑さがNFTの希少性を担保する事になるので面白いですね。
購入に先立ってはルーラコインが必要になりますが、ルーラコインは現地でもプリペイドを買うイメージで入手する事ができます。
ルーラコインについては別の記事を参照下さい。
兵庫県の有馬温泉にある「三ツ森Cafe」で発売されているルーラNFTを購入する例で説明します。
有馬温泉に行って三ツ森Cafeを訪ねます。
お店に設置されているルーラNFTの購入専用QRコードからルーラコインのWebアプリを使ってNFT専用のQRコードを読み取ります。
位置情報のチェックを行います。
希望するシリアルナンバーを選択して購入します。
発行完了メールが到着したら完了です。ルーラコインWebアプリのマイページから購入したNFTを確認できます。
NFTマーケットプレイス
ルーラ社ではルーラNFTを売買するための市場(マーケットプレイス)を2022年冬に公開する予定で整備を進めています。
ルーラNFTはPolygon(MATIC)のブロックチェーンを使用していますが、これに対応した市場を自ら用意する事で、ユーザーはルーラのアプリ上で保有するルーラNFTのを売却したり送ったりする事ができます。
Polygon(MATIC)チェーンの為、送金手数料も格安で済みます。
被災地支援型NFT
ルーラNFTの大きな特徴、強みとして挙げられるのが災害などへの支援への活用です。
観光地を活性化する事を大きな目的に掲げるルーラのプロジェクトならではの仕組みと言え、既に実績をあげています。
2022年7月16日にルーラNFTとも提携している宮城県松島町を集中豪雨が襲い、松島観光協会など多くの観光施設が冠水被害を受けてしまいました。
この状況を受けてルーラ社は7月19日から7月31日の期間にルーラNFTを活用した被災地支援型NFTを販売し、松島の支援に乗り出しました。
松島温泉の温泉むすめキャラクター「松島名月」を起用したトレーディングカード形式のルーラNFTを販売しています。
ルーラコインのWEBアプリから「松島豪雨水害支援ルーラNFTチケット(1,000円〜10,000円)」をルーラコインで購入すると、売上金の100%を一般社団法人松島観光協会に寄付する仕組みで、決済手数料や振込みに掛かる手数料はルーラ側が負担します。
更に8月31日までの間、松島エリアのルーラコイン加盟店にてルーラコインを使って決済した時に10%割引となるクーポンの配布も併せて実施しました。
松島支援のルーラNFTは発売初日で30万円を超える売上を記録し、ルーラNFTが災害支援や寄付に対して有効なツールであることを示しました。
まとめ
ルーラNFTはデジタルでありながらローカル性を打ち出す発想によって希少性や独自の価値を生み出すNFTプロジェクトです。
温泉地、観光地を元気にするという明確な目的を持ち、全国にその勢力を拡大しています。
温泉むすめという魅力的なコンテンツを抱えており、その将来性にも大いに期待が持てます。
是非とも大きな勢力になって全国の温泉地、観光地を盛り上げる資源になって欲しいと思います。注目ですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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