楽天が2022年春にRakuten NFTを提供開始します。

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楽天がNFTに進出

2021年8月30日、楽天グループ株式会社は楽天が日本国内のNFT事業に2022年春に参入することを明らかにしました。
インスタグラムやLINEといったSNSプラットフォーム事業が相次いでNFTへの進出を計画する中、動向が分からなかった楽天の参入計画が明らかになったことで国内市場の主要なプラットフォームがほぼ出揃った感があります。
楽天はどんな戦略を考えているのでしょうか。

NFTとは!?

NFT(Non-fungible Token)は基本的にコピーが可能であるデジタル資産について、ブロックチェーン技術を使ってオリジナル(コピー元)とコピー品を区別できる様にしたものです。
このNFT化技術によって価値が認められにくかったデジタル資産を価値を有する資産として流通させる可能性が拡がりました。
NFT技術を応用することで、デジタルでは無い絵画や製品などの資産のオリジナルとコピー品とを区別することもできます。
NFTの概要については別の記事を参照して下さい。

楽天グループ

楽天グループはインターネット事業を中心にEC分野、金融、通信、スポーツなど幅広い分野に勢力を広げている一大企業グループです。
YAHOO! JAPANやLIEを抱えるZホールディングスやGMOクリック証券を擁するGMOグループらと並び、日本を代表するネット企業グループの地位を得ています。
実際、業界動向サーチの2021-2021年インターネット業界売上高ランキングでも楽天が1位となっています。
グループに楽天市場楽天銀行楽天証券楽天モバイルなどの誰もが名を知る企業を多数擁し、更にJリーグのヴィッセル神戸、プロ野球の楽天ゴールデンイーグルスも抱えています。
国内ではネット界の「巨人」とも言える存在ですが、これまで仮想通貨やNFTの分野では楽天ウォレットをリリースしたものの、それ以外には余り目立った動きが表に出ていませんでした。
ただ楽天グループは、2016年8月にはブロックチェーン技術の研究開発組織である楽天ブロックチェーン・ラボを開設するなど仮想通貨関連の研究には早くから取り組んでおり、その動向が注目されていました。

Rakuten NFT

楽天グループ社の発表によれば、楽天は2022年春にNFTサービス「Rakuten NFT」の提供を開始して日本のNFT事業に参入します。
Rakuten NFTはスポーツやエンターテインメント分野などを幅広く扱うNFTマーケットプレイスを立ち上げ、併せてNFTの発行から販売ツール、サイトの構築までを可能にする販売プラットフォームを提供します。
NFTマーケットプレイスではユーザーがスポーツ、アニメ、音楽などさまざまな分野のNFTを購入できる他、ユーザー間でもNFTを売買できる環境を整備します。
また楽天グループが展開する他のサービスの利用に対しNFTが獲得できるといった形で連動していく予定です。
楽天経済圏のNFT版といった形です。

LINEもGMOも

日本では2021年6月以降、大手ネット企業やSNSプラットフォームのNFTへの進出の動きが相次ぎました。
6月にはZホールディング傘下のLINEがNFTマーケットプレイスの運営を開始しました。
LINEは続けて同じZホールディングのヤフー!と提携してLINEのNFTマーケットプレイスで購入したNFTをヤフオクで販売し、二次流通できるようにする計画も明らかにしています。
6月にはGMOグループも新会社GMOアダム株式会社を立ち上げ、8月31日にはNFTマーケットプレイス「Adam by GMO β版」の提供を開始しています。
こうした動きの中で楽天グループの参入が決まったことで、国内のNFTプラットフォームの候補がいよいよ出揃った感があります。

NFTは有望市場

有力ネット企業が揃ってNFT分野への参入を決めたのは、NFT市場が極めて有望と見ているからに他なりません。
NFT関連事業は当初のバブル的盛り上がりは一度落ち着いたものの、本当の拡大局面はまだまだこれからだと考えられます。
上手く離陸すると、この先どこまで成長するか想像できません。
とてつも無い規模の産業と市場が生まれる可能性さえあり、ネット企業が黙って見ている手は無いのです。
NFT市場は先行者利益が大きいため、早く立ち上げてこのマーケットの主導権を取りに行こうとする動きが顕著です。
楽天グループは今後NFT化し得る資産を多数抱えており、それらのNFTが全て他の企業のプラットフォームで流通する様な状況は利益機会の損失ですし、何としても避けたい所です。
その意味でも楽天グループにとってNFTプラットフォームの立ち上げは不可欠だったのです。

ヴィッセル神戸のNFT!?

楽天グループヴィッセル神戸楽天ゴールデンイーグルスという強力なコンテンツを抱えています。
両クラブに関連したNFTは発行すれば直ぐにでも需要が生まれ流通していくでしょう。
イニエスタ選手のNFTなど、発行すれば世界中に買い手がいます。
既にJリーグが提携するフットボールゲーム「Sorare」にヴィッセル所属選手のNFTカードが存在していますが、NFTカードを楽天自ら展開する手もある筈です。
こうしたコンテンツを持っていることはNFT事業にとって大きなアドバンテージになります。
但しNFT市場で勝ち残るためには自前のコンテンツだけでは無く、外部の強力なコンテンツを如何に楽天陣営へと引き込めるかがシェアを握るための鍵になります。

コンテンツホルダーとの連携が鍵

Zホールディングスは傘下企業を通じてバンダイナムコbitFlyerホールディングスと共にNFT事業を展開する企業・double jump.tokyo社に出資しています。
ガンダムを始めとするバンダイナムコのコンテンツをLINEのNFTプラットフォームに載せて流通させるといった展開が容易に予想されます。
GMOグループもトップYoutuberのヒカル氏や格闘技イベントのK-1 World GP、更には36組にも及ぶ有力漫画家らをクリエイターとして迎えてNFTクリエイターの充実を図っています。
楽天グループの提携戦略についてはまだ殆ど明らかにはされていませんが、間違いなく強力なコンテンツを持つ相手を自陣に引き入れてくると見られるので楽しみですね。

まとめ

楽天グループのNFT本格参入の発表は、日本の大手ネット企業が出揃ったという意味で日本のNFT事業が本格化する転換点と考えられます。
但し悠長に構えていられる訳ではありません。
世界にはOpenseaを筆頭とする先行のNFTマーケットプレイスもありますし、インスラグラムツイッター、微博といった巨大なSNSプラットフォームがやはりNFTへの参入を進めており、競争の激化は必至です。
楽天がこうした世界の競合相手と闘っていかにして勝ち残っていくか、次の戦略にも注目していかなければなりません。
NFTの市場は一方ではグローバルな市場であり、一方ではローカルな市場でもあります。
Rakuten NFTがどんなプラットフォームに育つのかを楽しみにして今後も見守って行きたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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