MDEX
MDEXは2021年1月に運営が開始されると瞬く間にDEXランキングのトップにまで上り詰め、大きな衝撃を与えた分散型取引所(DEX)です。
世界的な取引所「Huobi」が開発し、Huobiの独自ブロックチェーン(HECOチェーン)を使って展開されています。
厳密には完全な分散型取引所とは言えないのですが、送金手数料が非常に安く他のDEXの大きな脅威になっています。
■取引所名 MDEX
■運営形態 分散型取引所(DEX)
■技術基盤 HECO Chain
■運営開始 2021年1月
■公式HP https://mdex.com/#/
DEXとは
DEX(Decentralized EXchange)は日本語では「分散型取引所」と訳されています。
特定の事業者や組織が管理せず、決められたルールに沿ってシステマチックに取引が処理される取引所です。
一般的な取引所を使って取引をする場合は、自分の資産(通貨)を取引所に預けてこれで他の通貨を買いますが、分散型取引所では基本的にその会社が存在しません。
資産を守る秘密鍵はあくまでユーザーの元にあり、ユーザーが自らの責任で管理します。
資産を管理する管理者がいないのでデータの管理コストは大幅に減少します。
MDEXの場合はHuobiのアプリケーションサービスという立ち位置で、中央集権的な取引所とも言えますが、システム的には分散型取引所の仕組みをそのまま使っています。
分散型取引所(DEX)の内容については記事を参考にして下さい。
DEXはイーサリアム系が主流
分散型取引所(DEX)は2020年のユニスワップの成功によって人気に火が付きました。
その後ユニスワップの仕組みを模したスシスワップ、BurgerSwap、SwapHubなど類似の分散型取引所が続々と生まれ乱立状態になりました。
ユニスワップがイーサリアムのプラットフォームを使って開発されたこともあって、分散型取引所の多くがイーサリアムのプラットフォーム上で展開されました。
これらの分散型取引所ではイーサリアム(ETH)が基軸通貨となり、イーサリアムの規格(ERC20規格)のトークンを自由に交換することができます。
イーサリアム系DEXの問題
ところがイーサリアム系DEXの取引拡大に伴って送金手数料の高騰が深刻な問題になってきました。
イーサリアムのプラットフォームではコイン(トークン)を送金する度に送金手数料が発生している仕組みになっています。
原則的に取引量が増加・集中すると送金手数料は上昇しますが、最近では送金手数料が高騰して負担が深刻になってしまっています。
2021年2月時点では1,000円程度の取引で掛かる送金手数料が数千円相当になってしまうことも珍しくありません。
これでは取引所の手数料が格安でも、あるいは預け入れ利息が良くても、送金手数料が相殺してしまいます。
送金手数料の高騰は、イーサリアム系の分散型取引所共通の問題となっています。
HECOチェーン
これに対し既存の大手取引所などが開発した独自のブロックチェーンを使って送金手数料や遅延の問題を解決した分散型取引所(の様なサービス)が登場してきました。
バイナンスの独自ブロックチェーン「バイナンススマートチェーン」を使ったPancakeSwapなどがこれに該当します。
MDEXはHoubiグループが開発したHuobi ECO Chain(HECOチェーン)というブロックチェーンを利用しています。
HECOチェーンはイーサリアムのコードを下敷きにして開発され、2020年12月に公開されたブロックチェーンです。
イーサリアムなどのシステムと比べて、送金手数料の安さや取引記録のブロック生成時間の短さなどに大きな強みを持っています。
MDEXにユーザーが流入する
MDEXはHECOチェーンに乗ったことにより、圧倒的な送金手数料の安さを手に入れました。
分散型取引所(DEX)としてのサービスとしては他と同様のものを用意しながら送金手数料は安いということでMDEXに大量の資金が流れてきました。
特に流動性提供、イールドファーミングといった投資への資金が集まり取扱い高を押し上げました。
HTトークン
HECOチェーンではHECO規格に準拠したトークンを取引することができます。
またHECOチェーンでは送金をする度に送金手数料としてHTトークンを支払います。
イーサリアムのgas代と同じ仕組みです。
HECOチェーンはイーサリアムをベースにしていますが、現時点でイーサリアムのブロックチェーンとの互換性はありません。
そのためMDEXを利用するためにHECOチェーン仕様のウォレットを用意する必要があります。
流動性を提供する
分散型取引所(DEX)の多くでは「流動性を提供する」ことによって報酬を得られる仕組みが人気の要因となっています。
流動性を提供して報酬を貰うことは「流動性マイニング」と言われます。
また流動性を提供した「証明書」として貰える流動性トークン(LPトークン)を預けることで利益を得る「イールドファーミング」と併せて大きな利益を狙うことができます。
流動性マイニングは儲かるらしいといった話を聞いて気になっている方もいると思います。
MDEXもそうしたニーズをがっちり掴んで急成長を果たしました。
アカウントが要らない
MDEXではメールアドレスや電話番号を登録したり、個人証明書類を提出したりして口座を開設する必要がありません。
そもそも分散型取引所にはアカウントの仕組みがありません。
その代わりHECOチェーンに対応したウォレットが必要になります。
MDEXを対応ウォレットと接続させて直接やり取りをするのです。
この際もっともよく使われているウォレットがメタマスクですが、通常メタマスクはイーサリアムのブロックチェーンの仕様がデフォルトになっています。
ここにHECOチェーン仕様を追加設定することでheco-mainnet仕様のメタマスクを用意することができます。
巨大な中華圏市場からのアクセス
MDEXを開発したHuobiはバイナンス、OKExと並ぶ「中国系三大取引所」の1つであり、巨大な中国市場に大きな影響力を持っています。
中国の仮想通貨規制を受けて現在はシンガポールなどに本社機能を移していますが、中国国内でも著名な取引所となっています。
中国では人民元で仮想通貨(暗号資産)を購入することは禁止されていますが、仮想通貨を保有すること自体は違法ではありません。
仮想通貨同士の交換も事実上容認されており、海外の取引所はこの需要を取り込もうとしています。
MDEXがこの巨大な中国市場からアクセスできることは大きな強みとなっています。
まとめ
MDEXはDeFi投資に中華圏の投資マネーを呼び込んで一気に拡大した分散型取引所型サービスです。
それでいながら欧米、日本ではまだ知名度が低く、大きな成長余地も残しています。
DEX同士の競争は激しさを増していますが、送金手数料の安さは大きな強みです。
今後もしばらくは有力な地位を維持することになりそうです。
流動性提供の仕組みは他の分散型取引所よりもやや複雑になりますが、魅力は十分です。
一度覗いてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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