イーサリアム(ETH)が大型アップデート「マージ(Marge)」に成功。今後の価格への影響は?!

ブロックチェーン
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イーサリアムの大転換

ビットコインに次ぐ時価総額を誇る暗号資産、イーサリアム(Ethereum/ETH)が大型アップデート「ザ・マージ(The Marge)」に成功しました。
イーサリアムはアップデートの比較的多いプロジェクトですが、その中でもマージは重要度が高く、歴史的なアップデートとも言われています。
マージによってイーサリアムは何が変わり、どんな影響を与えるものなのでしょうか。
マージ後の価格の動きや今後の価格の見通しも気になる所です。
そこで今回はイーサリアムのマージを巡る動きを紹介ます。
イーサリアムの過去の大型アップデートについては別の記事を参照下さい。

イーサリアム

イーサリアム(Ethereum)は2015年に公開された、時価総額第2位を誇る暗号資産です。
「イーサリアム」はプロジェクトやネットワークの名称であって暗号資産(コイン)の名前は「イーサ」なのですが、通貨名称としてもイーサリアムの名が広く浸透しています。
暗号資産の可能性を大きく拡げた『スマートコントラクト』という画期的な機能を実装した事で、その後の暗号資産プロジェクトに大きな影響を与えました。
イーサリアムの展開後、イーサリアムのブロックチェーンを利用したアプリケーションやプロジェクトが続々と生まれ続けています。
一方で余りの人気に取引量が急増して処理が追いつかず、ネットワーク遅延や送金手数料の高騰を招く問題(スケーラビリティ問題)が深刻化していました。
またネットワークの維持に膨大な電力を消費している現状があり、環境問題として批判を受けてもいました。
大型アップグレードの背景には、こうした問題の解消という課題があった訳です。

ザ・マージの成功

2022年9月15日、イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏「ファイナライズしました!(And we finalized!)」とツイートし、最初の提案から実に6年以上に及んだ大型アップデート「ザ・マージ」の完了を宣言しました。
イーサリアムは、膨大な電力を消費すると批判のあったデータの承認方式を変更し、これに伴ってイーサ(ETH)の新規発行量が90%近く減少する事になります。
更に承認方式の変更によってネットワークの高速化と手数料の削減がもたらされると見られています。
イーサリアムにとっては正に歴史的転換点と言える程の大幅なアップデートです。

完了直後に価格は下落!?

マージの進捗を背景にイーサ(ETH)の価格はビットコインを上回る上昇率を見せていましたが、マージ完了後には一気に価格が10%近く下落してしまいました。
但しこの下落は投資の格言「思惑で買って事実で売る」のパターンそのものであり、短期的・投機的な値動きと見て良さそうです。
中、長期的な価格を推測するためにも、マージによる変化とその影響をもう少し詳しく見てみましょう。

ザ・マージの特徴

マージの核となるのは「ブロックチェーンの承認方式の変更」です。
ブロックチェーン技術では、新しく生じた取引データの塊(ブロック)を記録する際にデータの承認作業が発生します。
この承認作業に、これまでのイーサリアムではビットコインと同じPoW(Proof of Work)という承認方式を採用していました。
PoW方式では、承認に必要な特定の関数値をコンピュータ(CPU)に計算させて最初に見つけた人が承認を行い、その報酬として新規に発行されるコインを獲得します。
ビットコインやイーサリアムの様なメジャーな暗号資産では、世界中の作業参加者=マイナーがコンピュータ(CPU)をフル稼働させて競争するために膨大な電力を消費する事が環境問題となっていました。

PoS方式への移行のメリット

今回イーサリアムは、承認方式をPoW方式からPoS(Proof of Stake)方式へと変更しました。
PoS方式では一定量のイーサ(32ETH以上)をネットワークに預けてたアカウントを対象として、預けている量と期間に比例する形で当選率を調整した後で無作為に承認者を選出する方式です。
選ばれた人(アカウント)は承認する代わりに報酬を獲得します。
因みにPoW方式では報酬の事をマイニング報酬、PoS方式ではステーキング報酬と呼んでいます。
PoS方式への移行によってエネルギー消費量は99%以上減少すると見られています。

新規発行されるイーサが減少

一方、承認作業の際に新規発行されるイーサ(ETH)の量も激減します。
マージ実施以前は1日辺り約13,000ETHが新たに発行されていましたが、マージ完了後の新規発行数は1日当たり1,600ETH(約87%減)となっています。
イーサリアムではネットワーク手数料として徴収されて焼却(バーン)される分が1日約1,600ETH前後あると見られるので、PoS方式への移行後は実質的にイーサは増加しない計算になるとの事です。
毎日1万ETH以上が増えていたものが殆ど増えなくなるので、変更前と比較すると圧倒的に価格が上がりやすい仕組みになったと考えられます。

下落要素もあります

但し価格に対してはマイナスとなる要素もあります。
これまでPoW方式の承認作業に参加してきたマイナー達はマイニング報酬を得られなくなります。
多くのマイナーがイーサリアムへの興味を失ってイーサ売却に走ればイーサの価格は下落します。
短期的にはこのリスクが少なからずあると言えるでしょう。
マイナー達はビットコインやイーサリアムクラシックなどPoW方式の他の暗号資産への移行を進めていますが、ビットコインのマイニングには実質的にこの作業に特化した機器が必要ですし、他の通貨ではイーサ並の利益が得られず厳しい状況に置かれています。
一部のマイナーグループはイーサリアムから分岐してPoW方式を維持した形の暗号資産を発行する動きを見せましたが、新コインは発行直後から価格が下落して思惑は崩れた様です。

まとめ

今回、イーサリアムは歴史的なアップデート「ザ・マージ」を成功させました。
短期的に価格は下落しましたが、PoW方式の電力消費が社会問題化している中で、将来を見据えれば避けては通れない移行だったと考えられます。
供給ペースが変わる事で中期的には価格面にも良い影響を与えると考えられますし、取引の混雑や送金手数料高騰を招いているスケーラビリティ問題の解決に向けても重要な進化です。
スケーラビリティ問題の長期化の間にポリゴンやソラナなどのプロジェクトに大きくシェアを奪われた部分もありましたが、マージはイーサリアムの反撃開始の合図となるかもしれませんね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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