コインチェック仮想通貨流出事件とは

取引所
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暗号資産(仮想通貨)業界を揺るがす大事件

ビットコイン(BTC)の価格が急激な上昇を見せて、2017年12月に1BTC=218万円と言う最高値を記録してから僅か1ヶ月余り後に、仮想通貨(暗号資産)の世界を震させる大きな事件が発生しました。
仮想通貨交換業者大手のコインチェック社で、総額580億円もの額に相当する仮想通貨(暗号資産) ネム(XEM)の大量流出事件が起こったのです。
この事件はテレビやネットニュースでも連日大きく取り上げられたので、御存知の方も多いと思います。
事件を受けて仮想通貨(暗号資産)への不安や不信を強めた方も多いと思います。
ただこの時には必要以上に不安を煽る様な報道や、単純に誤った情報を伝えているものも少なからず見受けられました。
本サイトでは余り専門的な領域の話(個人的には嫌いでないですが)には入らない方針なのですが、この事件がどういうものだったかについては触れておきます。

580億円が流出!

2018年1月26日11時25分、コインチェック社が保管する 仮想通貨(暗号資産) が大量に流出している事が発覚しました。
流出したのは 仮想通貨ネム 5億2000万XEMで、発覚時点の価格で約580億円と言う桁外れの金額です。
同日の午前2時56分から僅かな時間の間に、これだけのネム(XEM)が盗まれてしまったのです。
コインチェックは、同日の午後にはネム(XEM)の取引を中止しましたが、保管していたネム(XEM)の大半を外部に持ち出された後でした。

業界1位を争う取引所

コインチェック社は、当時仮想通貨の取扱量1位の座をビットフライヤー社と争う、業界大手の仮想通貨交換業者でした。
2017年12月時点で言うと、ビットコイン(BTC)の月間取扱量はビットフライヤーが1位でしたが、FXを除く現物取引に限れば、コインチェックが月間3兆円と、ビットフライヤーの月間1.2兆円を大きく上回っている状況でした(CoinMarketCapデータによる)。
但しビットフライヤー社が資本金が14億円を超え、出身企業に三菱UFJキャピタルやGMOグループなどの大手企業が名を連ねる会社だったのに対し、コインチェック社は資本金は9, 200万円程で、出資者もベンチャーキャピタルが中心と言う企業でした。
コインチェック社は2017年のビットコインバブル的な市場拡大の波に乗って、急激に仮想通貨の取扱量を増やしました。
同12月からは出川哲郎さんを起用したCMなど、メディアに広告を大量に投入して一気に知名度を上げました。
コインチェック社は、 12月には広告効果もあって、それまでの10倍もの口座申込があった事を明らかにしています。
驚異的なペースで拡大し、仮想通貨取引所としてNo1の座をも掴もうとしていた、その矢先にネムの流出事件が発生したのです。

480億円を保証!?

事件を受けて1月26日の深夜 (なんと23時30分スタートです! )にコインチェック社が会見を行ない、和田晃一良社長大塚雄介取締役兼CEOと弁護士が出席して事態の説明に追われました。
会見では、ユーザーから預託されていた約480億円相当のネム (XEM)については、コインチェック社が自己資金で全額補償するとの発表がありました。
しかしながら具体的な支払方法や時期については説明が無く、そもそも資本金9, 200万円(当時)の新興ベンチャー企業が480億円もの資金を確保する事ができるのかと言う点についても回答が得られませんでした。
仮に確保できるにしても、 経営規模から見て、480億円を保証するくらいなら会社を潰した方が良いと言う経営判断をされる可能性さえもあり、ユーザーにとっては全く予断を許さない状況だった訳です。

若きスター経営者

会見では、説明や質疑応答には殆んど大塚CEOが対応していたのですが、メディアは若き経営者・和田社長の映像を徹底して流していました。
和田晃一良社長はベンチャーキャピタルの世界では良く知られた存在でしたが、それ以前から天才プログラマーなどとプログラミングの世界で早くから騒がれていた人物です。
ソフトウェアの開発者の能力を競う、通称「ハッカソン」と称される大会が国内にも幾つかあるのですが、 和田社長は東京工業大学在学中に複数のハッカソン大会で優勝しています。
2012年には友人と共同でコインチェックの前身であるレジュプレス社を設立。
そこでユーザーが自分の人生のエピソードなどを書き込めるコンテンツ「Story.jp」を立ち上げ、 映画にもなった「ビリギャル」を世に送り出すなど、 大きな成功を収めています(STORY.jpは2017年に事業譲渡)。
2014年には一転して仮想通貨事業に参入し、ビットコインの爆発的な盛り上がりに乗って急成長を果たしました。
正に新世代経営者の旗手 と言うべき若きスター経営者だったのです。

リスクは有ったのか

ただその一方で、早くから仮想通貨取引を見ていたパワーユーザー達の間では、コインチェックは大丈夫なのかと不安視する声が相当数ありました。
業界大手とは言っても、コインチェック社は資本金9, 200万円、社員数70名余りのベンチャー企業で、技術者も40名程度と言われていました (当時)。
果たしてわずか40名程度の技術者で、月数兆円規模に昇る取引を安全に運営.管理して行く事ができるものなのか、と言う疑問が上がっていたのです。
また2017年4月の法改正を受けて、仮想通貨交換業者は金融庁への登録を義務付けられる事になったのですが、同年9月の登録業者発表時に、コインチェック社の名前が入っておらず、ちょっとした話題になりました。
コインチェック社ダッシュなど匿名性の高い通貨を扱っていた為とも言われましたが、セキュリティ対応がまだ甘いのでは無いかと捉える人も少なくありませんでした。
2018年1月の第2回の登録業者発表にもコインチェック社の名は入りませんでしが。コインチェック社は「みなし業者」と言う立場で事業を続けているく事になりました。
おそらくはコインチェック社もこの問題を認識し、技術者の増強を続けて正式登録を目指していたであろう矢先に事件が起こってしまったのです。

コールドウォレット

暗号資産(仮想通貨)では保有したコインを、ウォレットと呼ばれる電子的なお財布(台帳)に入れて保管するのですが、例えばビットフライヤー社では預かっている暗号資産(仮想通貨)資産の80%をコールドウォレットと言う、 インターネット環境から切り離したサーバーのウォレットで保管ししています。
物理的に外部から侵入(ハッキング)できない様にして資産を守るわけです。
但しコールドウォレットも出し入れの時にはネットと繋がるので、それだけで完壁と言う事ではありません。
コインチェック社もホームページ上ではコールドウォレットによる管理を誕っていましたが、ネム(XEM)に関しては技術的問題もあってコールドウォレットでの保管を実施していませんでした。
実際、そのネム (XEM)を狙い撃ちされた形となりました。
ネム(XEM)は他の通貨と比べてコールドウォレットでの保管が技術的に(システム的に)難しい部分がありますが、それでもやはり、管理がずさんとの指摘を免れない状況になっています。

狙われる取引所の管理

ビットコインやアルトコインはブロックチェーン技術を基盤とした高度な暗号技術によって 通貨の安全性を確保しています。
現実には、ブロックチェーンの暗号を破られてコインが盗まれる可能性よりも、取引所側のセキュリティの脆弱さを突かれてコインが盗まれるケースが遥かに多く、暗号資産(仮想通貨)盗難の多くは取引所などの情報管理の甘さを突かれています。
主要コインが高騰する中では、国家組織でのハッキングさえ噂されます。
その意味では暗号資産 (仮想通貨)取引は大変なリスクを抱えていると言えます。
しかしながら一方では、高い暗号技術の上に作られた暗号資産 (仮想通貨)ならではの|対策の可能性も現れてきています。
今回のコインチェックの事件でもそれは伺えました。

突如現れた17JK

コインチェックの盗難事件の翌日辺りから、ネット界隈では、コインチェック社とは全く関係の無い人物が話題となっていました。
その名はみなりんこと水無凍(JK17)さん。
今回の事件で碁星の様に現れたネット界のニュースターです。
みなりん” は、まだ事件が発覚する前の時点で、ネム (XEM)のブロックチェーン記録に不自然な動きを見つけてtwitterで投稿します。みなりんが「このままネムの動きを追跡する」との投稿をした後に、ネム大量流出事件が発覚しました。
時間の経過と共に、みなりんの投稿内容がこの事件を指している事が明らかになり、インターネットコミュニティを中心に「スーパー女子高生(JK17)が犯人を追跡中!」などと大きく拡散して行きました。
みなりんはコインチェックで起きたネムの異常な動きに一早く気付き、持ち出されたネム(XEM)に目印を付けました。
技術的にはネム (XEM)に関連付けた独自のモザイクを発行した、と言う話になるのですが、 ともかくみなりんの行動によって、ネム (XEM) をどのウォレットに移動させても、それを特定できる事になりました。
そのウォレットを誰が持っているか迄を特定できる訳ではありませんが、盗んだネム(XEM)を他の通貨に交換・出金するのは格段に難しくなりました。

ネム財団

天才女子高生(?)が580億円を奪った犯人を追跡すると言う、 映画さながらの展開にネットコミュニティは湧きました。
正直な所、多くの人がさすがに17歳の女子高生の仕事では無いだろうと薄々感づいてはいましたが、話の面白さも手伝って”みなりん”がネットスター化して行きます。
その後、”みなりん”がネム財団(! )なる財団から事件追跡の適任者として指名されるなど、SFさながらの展開を見せて祭り化して行きました。
ネム財団(NEM.io財団)はシンガポールで設立された正式な組織だったのですが、殆どの人は財団の存在すら知らず、何か凄い秘密結社の様な組織が動いてる的な話になっていったのです。

JK17の真実

みなりんについては、後日、 NEM.io財団の担当者も参加したセミナーの中で話題に上がり、スピーカーがみなりんの事を”He(彼)”と呼んだ事で、落胆(?) と共に「神話」 は終わり、みなりんの話は沈静化して行きました。
元々みなりんはNEM.io財団の協力者だったと言う事も分かり、なる程納得、と言う話だった訳です。
アカウントネームの(JK17) は女子高生17歳では無く、自宅警備員 (引き箱りの事です)17年の意味と言う事も程なく分かりました。

犯人は何者か

その後、犯人側はネム(XEM)を多数のウォレットに細分化し追跡を逃れようとします。
闇マーケットでの売却など色々な話が出ていますが、2019年6月現在、犯人グループは捕まっていません。
みなりんも捜査が本格化してきた段階で、今後の捜査を警察に委ねる旨を宣言し日常生活に戻って行きました。
進展があったのは2019年になってからで、何と国連が北朝鮮による暗号資産(仮想通貨)のハッキングを指摘し、その中にこのネム大量盗難事件も含まれました。
となると北朝鮮による盗難の可能性も小さくはないですが、この事件後もネム(XEM)の取引記録を丹念に追い続けている人達は少なからずいて、その多くは北朝鮮犯人説には否定的な意見を出しています。
本サイトでそれが誰かを特定して書く事はできませんが、この辺りはブロックチェーン関連のセミナーなどに行くとより詳しい話を聞けるかもしれませんね。

暗号資産の利点

ネム大量流出事件の結末がどうなるかは分かりません。
ただこの事件後の経緯を見ると、 お札などの既存のお金とは違って、どこまでも履歴(ログ)が残り、技術的に追跡可能な暗号資産 (仮想通貨)の優位性も見てとれます。
今回もし最終的に犯人が特定されて、ネム(XEM)が戻ってくる様な事態にでもなれば(難しいとは思いますが…)、そこまで行かなくても、盗んでも使えなくなると言う実証がなされれば、暗号資産 (仮想通貨)の方が安心、と言う形で再評価されるのかも知れません。

コインチェックのその後

コインチェックは停止していた口座残高の出金を2018年2月13日より再開すると発表し、実行しました。
ネム(XEM)を保有していなくても、口座にまとまったお金を入れていた方も多いだけに、ここで事態は一歩前進しました。
その後、2018年3月~6月に掛けて盗難にあった分を日本円で返金する対応を実行しました。
日本円で返金されると利益が確定し、税金の問題が発生すると言う、 当事者には結構深刻な問題は残ったものの、コインチェック社が返金に応じた事で、ユーザー側にとっての事態は一応の決着を見る事になりました。
2018年4月6日、マネックス証券などの会社を抱えるマネックスグループがコインチェックを買収する事を発表しました。
買収額は36億円で、コインチェック社はマネックスグループの完全子会社となりマネックス傘下で経営体制を立て直す事になりました。
2019年1月にはコインチェック社は暗号資産交換業者として金融庁の正式登録を果たし、営業も再開しています。

まとめ

コインチェック社が受けたネム(XEM)大量流出事件は、被害額580億円と言うとてつもない盗難事件となり、日本のみならず世界中にショックを与えました。
その一方では、事件の後、日本では急速に法整備や交換業者への監督強化、業界団体の整備などが進められました。
これほど短期間に整備が進んだ産業も無いのではないかと思います。
まだ充分とは言えませんが、暗号資産(仮想通貨)を取り巻く環境は確実に整備されてきています。
コインチェック社も事件前とは全く別物と言えるレベルでセキュリティ対策、情報管理を強化しています。
こうした困難を乗り越えて強化されて行くのは健全な姿とも言えるでしょう。
その意味ではコインチェックネム(XEM)も、今後の見通しは明るいのかも知れませんね。  

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