リップル(Ripple/XRP)
(2021.1.7.改訂)
リップル(XRP)は、2021年1月時点で約1.04兆円の時価総額を誇り、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)に次いで時価総額4位につけるメジャーな暗号資産(仮想通貨)です。
2019年にはイーサリアムと激しい2位争いを繰り広げ、一時はイーサリアムを抜いて時価総額第2位になる事もありました。
国際送金の変革を目指すプラットフォームの中で動くブリッジ通貨として開発され、実用性と将来性を併せ持つ暗号資産として大きな注目を集めています。
通貨名称はXRP (エックス・アール・ピー)で、プロジェクト名や通称がリップルとなります。
リップラーと呼ばれる熱烈な支持者を抱える暗号資産(仮想通貨)としても知られています。
■PJ名称 リップル(Ripple)
■通貨名称 エックスアールピー
■通貨記号 XRP
■通貨順位 第4位*
■時価総額 1.04兆円*
■通貨価格 23.3円*
■運用開始 2005年運用開始
■発行上限 1,000億XRP
●提唱者 ライアン·フガー(Ryan Fugger)
●承認方法 PoC(Proof of Consensus)
(※順位、価格、時価総額はCoinMarketCap 2021.1.03.発表データより集計)
リップル(XRP) は米国のリップル社(Ripple Inc)が管理しています。
分散管理・非中央集権型のビットコイン(BTC)などとは異なり、その意味では中央集権的な性格を持ったコインと言う事が言えます。
「リップル」はリップル社の進めるリップルプロジェクトと言うプロジェクトの名前でもあり、コインの名前でもあります。
リップルプロジェクトのシステムの中で「仲介物」として使われるのが、同じ名称の仮想通貨(暗号資産)リップル(XRP)と言う関係性になります。
リップル(XRP)については、そもそも暗号資産(仮想通貨)では無いと言う意見も有るのですが、 一般的には既に有力な暗号資産(仮想通貨)の1つとして認識されています。
既に多くの国際的な巨大企業がリップルプロジェクトに参加している事や、リップルが国際的金融システムに組み入れられると言う期待が有り、リップル(XRP)は早い段階から注目されてきました。
リップルが生んだビリオネア
リップル(XRP)は、2004年にライアン・フガー (Rayan Fugger)氏によって開発が始められました。
その後、リップル開発の指揮権を譲り受けた共同創業者のクリス・ラーセン氏が、2012年9月にOpencon. Inc社を設立します。
同社は2013年9月にRipple Lab inc, 2015年10月にリップル (Ripple Inc)と社名変更し、現在に至っています。
リップル社のCEOを務めたラーセン氏は、約52億意XRPのリップル(XRP)と、リップル社株の17%を保有していると見られています。
2018年1月1日時点でのラーセン氏の総資産額は、推定373億ドル(約4.2兆円)と国家予算みたいな規模になっています。
CEOを引き継いだブラッド・ガーリングハウス氏もリップル社株の6.3%を保有し、総資産額は推定95億ドル(約1. 1兆円)。
2013年に退職した、共同創業者のジェド・マッカレブ(Jed McCaleb)氏も約50億XRPを保有しています。
3人はリップル(XRP)によって、瞬く間にビリオネアへの階段を駆け上がっていった訳です。
リップルプロジェクト
リップルプロジェクトはリップル社展開する、国際送金に関するあらゆる問題を解決しようと言う、壮大なプロジェクトです。
簡単に言ってしまうと、リップル・プロジェクトでは、今までの送金よりも圧倒的に早くて安くて正確な送金システムを実現しようとしています。
リップル社自体は、2012年に米国サンフランシスコで創業された新しい企業ですが、リップルプロジェクトには欧米各国や日本を代表する有力銀行が続々と参加しています。
リップルプロジェクトでは分散型台帳管理技術(ブロックチェーン)を使って、各銀行などの中央管理サーバーを介する事なしに、銀行同士が直接ネットワークで繋がって情報を共有する事で、送金を即時に行う事が可能な仕組みを構築していきます。
(但し実質的にはリップル社がデータ管理に関する権限を持っています)
こうしたプロジェクトの背景には、現行の銀行間の送金(特に国際送金)が、複雑な手続きを必要とし、大きな障壁になっていると言う社会問題があります。
SWIFTとは
国際送金ではSWIFTと言うフォーマットが世界中で使われています。
SWIFTは国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の略で、世界200以上の国(地域)で使用されている金融フォーマットを提供しています。
「SWIFTが国際送金システムを事実上牛耳っている」などとも言われています。
各銀行に割り振られたコード (SWIFTコード)を使って共通の手順で送金をする事によって、送金ミスを防ぐと共に、国際送金を最短で1~3日で完了させる事ができます。
現状では銀行の国際送金の殆どが、このSWIFTによって実行されています。
国際送金の手順
SWIFTを利用した国際送金について、日本から米国へ送金する例を使って説明します。
国際送金の手順は以下の様になります。
①.日本の銀行で米国への送金を依頼。
②.送金額の支払い。
この時米国に100ドルを送りたいのであれば、 10Oドル相当の日本円と、 為替手数料、送金手数料が掛かります。
更に、自前で海外送金機能を持たない銀行から送金する場合は、海外送金を仲介する銀行(コルレス銀行)への手数料が発生します。
③.送金を受け付けた日本の銀行が自行と送り先銀行のSWIFTコードを調べて送金処理を実施。
④.決済されると送金額と諸費用が引き落とされて送金が完了。
となります。
国際送金の課題
SWIFTフォーマットの普及によって、それ以前と比べると国際送金時のミスやエラーは大幅に減り、送金日数も短くなりました。
それでも人や物が激しく行き来し、インターネットを介して情報が瞬時に飛び交う現在の国際状況下では、国際送金に対していくつかの問題が顕在化しています。
国際送金の主な問題は
●高額な手数料
●送金時間の長さ
●お金と記録の消失リスク
の3点に集約されます。
この3つの問題全てを劇的に改善しようと言う野心的な取り組みこそが、リップルプロジェクトなのです。
国際送金の改革
リップル·プロジェクトでは国際送金の問題を解決する為に、あらゆる通貨に交換可能な仲介物としてリップル(XRP)を発行し、運用します。
リップル(XRP)を仲介させる事によって、今迄数日単位で掛かっていた送金時間を、数秒単位へと劇的に短縮する事も可能になります。
更に、送金の途中で人が介在する部分を全て自動化されたプログラムに置き換えます。
ヒューマンエラーを排除して送金ミスを無くすと共に、送金過程での操作やチェックに掛かる費用を減らします。
この結果、リップルプロジェクトでは送金コストを大幅に下げる事ができます。
リップル社では、この仕組みによって送金コストが従来の方式に比べて約60%削減されると試算しています。
リップル(XRP)には仲介した全ての取引記録が残る為、 送金記録の紛失によるミスも減り、仮にミスがあっても追跡できるようになっています。
スーパーバンクの参加
リップル・プロジェクトには、2016年から欧米の有力銀行が続々と参加するようになり、参加を表明している銀行は既に100行を超えています。
日本のメガバンク3行もプロジェクトに参加しています。
既に75行がリップルによる国際送金を開始しており、27カ国の間でリップルのシステムを使った送金が可能になっていると発表されています。
但しリップル社のシステムはリップル(XRP)を介しなくても使う事が可能なので、これは仮想通貨(暗号資産)リップル(XRP)を使っている銀行が75行あると言う話ではありません。
それでもシステムの有用性が検証されてくるに従って、必然的にリップル(XRP)を採用する銀行が増えてくる事は容易に推測できます。
日本でも国内60行以上が参加する「内外為替一元化コンソーシアム」というプロジェクトが進行していて、リップルのシステムを利用した海外送金や国内送金の計画を進めています。
既に韓国の銀行との送金実証実験などが実施されています。
リップル(XRP)の価値
この様に、リップルの送金システムは既に各国で導入され始めており、新時代の送金システムとして定着する日も近いと見られています。
リップルによって、これまで国際送金に掛かっていた人件費が大幅に削減され、自動化によってヒューマンエラーが無くなり送金記録も追跡できます。
更にはネットのデータ送信の速さを送金のスピードに反映させる事ができます。
リップルの仕組みによって今後の国際送金は格段に進化し、システムを支える仲介物としての役割がリップル(XRP)の信用を高める訳です。
マイニングが無いシステム
リップル(XRP)は技術的には一般的なブロックチェーンとは違う技術を使っています。
分散型台帳による管理技術では有るのですが、かなり中央集権的な管理を志向しており、リップル独自のブロックチェーンを構築しています。
大きな特長がマイニングが無いシステムと言う点です。
ビットコイン(BTC)などでは、取引の承認作業において、マイニングと言う作業を必要としていますが、リップル(XRP) ではマイニングがありません。
リップル(XRP)では、リップル社が複数の承認者(Validator)を指名し、その承認者がマイニングに代わる作業を担っています。
承認者には、マイクロソフト社など社会的信用が高い会社などが選ばれています。
また現状ではリップル(XRP) の情報データは、基本的にリップル社が管理しています。
こうした技術面と管理手法の違いから、リップル(XRP)は仮想通貨(暗号資産)とは言えないのではないかと言う意見が出てきているのです
リップルの発行枚数
リップル(XRP)の発行枚数は1,000億XRPです。
リップル(XRP)にはマイニングの仕組みが無く、これ以上コインが発行される事はありません。
発行枚数の1,000億XRPの内、リップル社が630億XRPを保有しています。
リップル(XRP)では、総発行枚数の大半をリップル社が保有している為、リップル社が大量にリップル(XRP)を売却すると価格が暴落してしまうと言う懸念が有りました。
これに対してリップル社では、保有する大部分のリップル(XRP)を売買できない様に一時凍結する「ロックアップ」を予告し、2017年12月7日に自社保有の660億XRPの90%に相当する550億XRPのロックアップが完了したと公表しました。
リップル社の発表によると、ロックアップした550億XRPについては、 2018年以降毎月10億XRPずつロックアップが解除され、市場に供給する事ができます。
月末までに放出されなかった分のリップル(XRP)は、再度55か月間ロックアップされます。
ロックアップによって、リップル(XRP)の大量放出による暴落懸念はほぼ払拭される事になりました。
リップルは消滅する?
総金などでリップルのシステムを利用すると、小額ですがリップル(XRP)が手数料として消費されます。
消費されたリップル(XRP)は回復せず、消滅する事になります。
総発行枚数は1,000億XRPと決まっているので、日々枚数が減っているとも言える訳です。
但しリップル(XRP)全体に対する比率としては非常に微小な量ではあります。
リップルの価格
2021年1月3日現在のリップル(XRP)の価格は1XRP=23. 3円となっています。
2017年12月に暗号資産の市場全体が高騰した時にはリップルも250円を超える値を付けましたが、翌月には大きく値を落としています。
リップルの価格が今後上昇する可能性はありますが、ビットコインの様な価格(同日で336万円)を付けるのは非常に難しいと考えざるを得ません。
ビットコインにも1BTCが50円を下回る時期はありましたが、価格の上昇により100万円、200万円と言う価格を記録する様になっています。
但しビットコインの発行枚数の上限が2100万枚であるのに対し、リップルの発行枚数は1,000億XRPです。総量が絶対的に違うのです。
リップルが100万円の価格になる為には、時価総額が1京円 ( ! )になる必要があります。
不可能では無いにしても、非常に困難だと見ざるを得ません。
価格は上がるのか
ではどの辺なら考えられるのかと言う話ですが、国際送金の規模が60兆円程度と言う所から、発生し得る実需要を推測する事ができます。
現在の実需の2割程度の仲介物としてリップル(XRP)が用意されたとしても、時価総額は12兆円、その時の単価は120円になります。
実際には実需の何倍もの投資資金が付くのが現在の金融の標準です。
投資を煽りたい訳では無いのですが、まだまだ伸びしろがあると言う事は言えそうです。
但し各国の規制や、 銀行の判断など色々な要素があるので簡単に断定できるものではない筈です。
その辺は御自身の責任での判断をして下さい。
SBIグループの接近
ネット金融事業を中心に巨大企業グループを形成する「SBIグループ」の代表である北尾基吉氏は、金融はもちろん、仮想通貨(暗号資産)にも深い知識識を持つ経営者として知られていました。
SBIグループはリップル(XRP)を推している事も知られていましたが、2019年その北尾氏がリップル社の取締役に就任し、大きなインパクトを与えました。
今後もSBIグループのサービスでも、リップル (XRP)と連携したものが生まれてくると期待されています。
まとめ
リップル(XRP)は、非常に明確で具体的な役割を持って開発されている仮想通貨(暗号資産)です。
リップルのプロジェクトが成功すれば、特に金融業界に与えるインパクトは大きく、その価値がリップル(XRP)の価値を創造する事になります。
投資(投機)商品としてもリップル(XRP)が大きな可能性を持つコインである事は確かです。
今後国際送金でリップル(XRP)が更に採用されていく可能性は非常に高いからです。
もっとも実用化が進む仮想通貨(暗号資産)の1つとして、リップル(XRP)の動向に注目して下さい。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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