暗号資産(仮想通貨)の取引所と販売所とは⁉その違いと使い方を解説

取引所/DEX
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*2022年1月12日改訂

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同じ会社の中に取引所と販売所がある

ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨) は、日本では金融庁に登録された暗号資産交換業者(会社)を通じて売買をする事ができます。
実際には個人間でやり取りする事もできますし海外の取引所を利用することもできるのですが、殆どの場合は交換会社が展開する暗号資産の取引所販売所で売買をする事になります。
これはまあ良いとして、ここからちょっと複雑で解りにくい問題が出てきます。
交換会社での売買には「販売所(方式)」「取引所(方式)」という2つの取引形態が存在するのです。
しかも同じ交換会社の中で販売所と取引所の両方を展開していることも珍しくありません。
元々の言葉の意味が似ている上に、会社によって名前もバラバラなので一層解りにくくなっています。
例えば交換会社によっては販売所方式のサービスを「かんたん取引所」などと名付けていたりするのです。
紛らわしい事この上ないのですが、最初に2つの方式の違いさえ理解しておけば、戸惑う事も無く自分に有利な取引を選択できるので一度立ち止まって確認しておきましょう。

基本的な違い

販売所(方式)はユーザーが交換会社と直接取引を行なう形のサービスです。
交換会社がユーザーにコインを販売するので販売所となります。
但し例えばカイカエクスチェンジ社(Zaif)では販売所方式のサービスを「簡単売買」と呼んでいたりします。
正直な所交換会社によってサービス名はマチマチです。
一方の取引所(方式)は、交換会社が開設する取引市場にユーザーが参加し、ユーザー同士が希望する売値と買値を提示して価格が折り合えば取引が成立すると形のものです。
画面では交換会社を相手にしている様に見えますが、注文を出しているのは自分や他のユーザーであり交換会社はあくまで取引の場を提供しているだけです。
売買の取引が成立すると、通常ユーザーは取引市場に対して手数料を支払います。

販売所方式での取引

販売所(方式)から見てみましょう。
販売所ではユーザーは販売所側が提示する金額を基に暗号資産(仮想通貨)の売買の判断をします。
販売所の取引画面には取扱コイン毎にその時点での買値と売値が表示されています(片方しか表示されない交換会社もあります)。
同期に表示されている場合には売値が4,920,615円、買値が4,994,981円といった表記になります。
ユーザーは表示された買値(売値)で良いと思えば注文を出します。
「買う(購入)」か「売る(売却)」 かを選択して、取引する数量を選択したら後は注文ボタンを押すだけです。
基本的には注文すると即取引成立(約定)となります。
但し表示されている金額ぴったりで必ず約定できるという訳では無く、交換会社によっては微妙に約定価格がずれることがあります。
例えばビットフライヤーの販売所取引では最大5%の差で約定する可能性があると明記されています。
100万円で買いの注文を出すと最悪の場合は105万円で約定するかも知れないということです。
通常は約定価格が大きくずれることは余りなくほぼ表示金額付近で約定されますが、交換会社によってルールが異なるのでできれば確認をしておいた方が良いでしょう。

スプレッド

販売所(方式)の場合は、殆どの交換会社で取引手数料が掛からないというメリットがあります。
但し販売所が提示する買値と売値の金額には価格差(スプレッド)があり、これが実質的な手数料相当分となります。
そのため販売所の場合は、ビットコインを買ったと同時に直ぐに売ったとしてもこのスプレッドの分ユーザーが損をすることになります。
当然ユーザーにとっては買値と売値の価格差が小さい(スプレッドが狭い)販売所の方が有利です。
ただスプレッドが狭い販売所でも、急激に一方向に価格が動いている局面ではスプレッドが大きく拡がる傾向があるので取引時は注意が必要です。

注文は簡単

販売所での注文は、数量を決めて買い(売り)の注文をするだけの形式(成行注文)の所が殆どです。
例えばビットコインならビットコインを○○BTC買いたいと数量だけを決めて注文します。
原則としては表示されている価格で約定する事になります。
注文は直感的で非常に簡単な方式と言えます。

取引所方式での取引

取引所方式の場合は交換会社が開設する市場(取引所)にユーザーが参加し、他のユーザーが出している注文金額などを見て判断し注文をします。
取引画面では直近の約定金額を挟んで売り注文・買い注文それぞれの希望金額と数量を板状に価格別に並べて表示されています。
別名「板取引」とも言われています。
板取引では売値と買値が一致した所で取引が成立(約定)します。
約定した時の売値と買値が同じなのでスプレッドは発生しません。
代わりに約定した場合には取引所に小額の手数料を支払う形が一般的です。
当然手数料が安い方が有利ですし、中には取引手数料を無料にしている交換会社もあります。

取引所での注文

取引所(方式)での注文方法には、数量を決めて買い(売り)の注文をする【成行注文】と数量と希望金額を決めて買い(売り)の注文をする【指値注文】の2つの注文方法があります。
成行注文は、例えばビットコインを○○BTC買いたいという形で取引数量だけを決めて注文する方法です。
表示されている買値、もしくはその近辺の価格で約定する事になります。
確実に約定する事を優先した注文方法と言えます。
もう1つの指値注文は、ビットコインを△△円で○BTC買いたいという形で希望金額と取引数量を両方決めて注文する方法です。
価格が変動して指定金額になったら取引が成立しますが、指定した金額まで変わらなければ取引は成立しません。
確実に約定する事よりも金額を重視した注文方法と言えます。

流動性が大事

株式取引やFX(外国為替証拠金取引)では常識になっていることですが、取引所方式では取引に参加している人の数(注文数)が多いことが非常に重要になります。
取引所への参加者が多いほど売値と買値が近づきやすく、約定しやすくなることが知られています。
これが一般に流動性と言われるものです。
取引への参加者が少ないと、買いたい(売りたい)時に取引の相手が見つからず、売買が成立しない可能性もでてきます。
実際、ビットコインの様に多くの参加者が見込まれるコインについては取引所を展開していても、アルトコインについては販売所方式でしか取引しないという交換会社が多いのです。

どちらが有利なのか

販売所(方式)取引所(方式)で取引の方法が違うことは分かりましたが、ではユーザーにとってはどちらの方式の方が有利なのでしょうか。
一般的には取引所の方が価格面で有利になることが多いと考えられます。
スプレッドが発生しない分売買するユーザーの双方にメリットがあり、取引手数料を差し引いても価格的には得なケースが多いというのが大方の認識です。
基本的には多くのコインを取引所形式で展開している交換会社が魅力的だと言えます。
但しビットコインやイーサリアムはともかく、それ以外のよりマイナーなコインの取引となると流動性も大きな要素として考慮しなければいけません。
取引への参加者が少な過ぎて、注文を出しても買い手(売り手)が見付からないという事態も考えられるからです。
特に保有するコインを売りたい時に買い手が見付からないとなれば相当に深刻な事態です。
販売所(方式)であれば、基本的に販売所(交換会社)が取引を引き受けてくれるのでそうしたリスクは大幅に低くなります。

取引単位の問題

ビットコインの様なメジャーなコインでも取引所(方式)が絶対に有利という訳ではありません。
例えば交換会社大手のビットフライヤーではビットコインを取引所と販売所の両方で取り扱っていますが、取引所では最低取引単位が0.001BTCなのに対し、販売所では0.00000001BTCからとなり非常に小さな単位での売買が可能です。
1BTC=500万円の場合、取引所では5,000円単位の取引になるので誰もが簡単に売買できるとまでは言えません。
そうしたケースも考えると取引所(方式)と販売所(方式)の両方を用意している交換会社も魅力的と言えます。
販売所と取引所それぞれの特徴に合わせて使い分けることが大事ですね。

まとめ

販売所(方式)取引所(方式)の区別はユーザーにとっては本当に紛らわしい問題です。
暗号資産(仮想通貨)のマーケットが急激に拡大する中で関連用語の整理が追い付かずに来てしまった1つの例だと思います。
ただそれぞれの仕組みが解れば何ということはありませんし、理解しておけば取引をする際に有利な選択をすることができます。
どちらの方式にもメリット、デメリットはありますが状況に応じて最適な選択をして下さい。
業者が得するのではなくあなたが得する方法を選んで下さいね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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