デジタル通貨の勉強会
2020年6月3日、国内のメガバンク3行やJR東日本などが参加する形でデジタル通貨などの課題を議論する検討会が発足したとのニュースが、読売新聞オンラインや共同通信などで報じられました。
6月中にも勉強会を開始し、9月末を目途に報告書の形で意見を纏める計画とのことです。
この会議の事務局となり、実質的な開催者となったのが、暗号資産交換業者として暗号資産(仮想通貨)事業やデジタル通貨決済事業を展開するディーカレット社ということでも注目を集めました。
日本の大企業や省庁が結集‼
この集まりは、日本におけるデジタル通貨の決済インフラを検討する勉強会として、日本のメガバンク3行(みずほ銀行、三菱 UFJ 銀行、三井住友銀行)、国内主要企業、有識者の参加によって構成されるものです。
デジタル通貨やデジタル決済インフラに対する課題と解決方法についての議論を進め、関連するサービスや決済インフラの標準化に向けた方向性を示すことを目的としています。
会議の座長は山岡浩巳氏(フューチャー㈱取締役)が努めます。
山岡氏は前日本銀行決済機構局長でもあります。
勉強会への参加企業は
●㈱みずほ銀行
●㈱三菱 UFJ 銀行
●㈱三井住友銀行
●㈱インターネットイニシアティブ
●KDDI 株式会社
●㈱セブン銀行(㈱セブン&アイ・ホールディングス)
●NTT グループ
●東日本旅客鉄道株式会社(JR 東日本)
●森・濱田松本法律事務所
となっており、協力企業として
●アクセンチュア㈱
●㈱シグマクシス
更にオブザーバーとして
●金融庁 ●財務省●総務省 ●経済産業省●日本銀行
が名を連ねています。
もうとんでもないラインナップですよね。
そして会議の事務局を努めるのが㈱ディーカレットになります。
ディーカレット
ディーカレット(DeCurret)は、2018年1月に設立され、2019年4月に暗号資産(仮想通貨)の取引を開始した新しい暗号資産交換業者です。
デジタル通貨のメインバンクを標榜し、安全で快適な暗号資産(仮想通貨)取引を実現していきます。
「デジタル通貨のメインバンク」を目指しており、デジタル通貨の活用を促進する独創的な商品やサービスの開発に取り組んでいます。
■会社名称 株式会社ディーカレット
■本社所在 東京都千代田区富士見2-10-2
■設立年度 2018年1月
■資本金 113.82億円(資本準備金を含む)
■会社代表 時田 一広 代表取締役社長
■事業内容 デジタル通貨の取引・決済を担う金融サービス事
■公式HP https://www.decurret.com/
なぜ事務局を務められるのか!?
なぜ2018年に設立したばかりの新興企業が大企業がずらりと名を連ねる勉強会の事務局を務めることができるのでしょうか。
当然疑問に思われることでしょう。
実はディーカレットには三菱UFJ銀行、三井住友銀行、JR東日本など勉強会への参加企業の多くが出資しているのです。
逆にいうと、ディーカレットはこうした大企業達がデジタル通貨事業のインフラを実現するための企業と見ることもできるのです。
毎月開催
ディーカレットのプレス発表によると、勉強会は 2020年6月から9月まで、月1、2 回の割合で開催されます。
国内外におけるデジタル決済、デジタル通貨の実例研究やブロックチェーン技術など新しい技術の取引・決済インフラへの応用といった点について、実用化への課題などを議論し、9月末を目途に報告書を纏める計画になっています。
報告書は外部にも公表される見込みです。
デジタル円
主要企業が集結してデジタル通貨決済のインフラ整備を検討する背景には、日本銀行が将来的に導入を検討している「デジタル円」構想の存在もあるようです。
日本銀行は現在欧州中央銀行(ECB)などと共にデジタル法定通貨の共同研究を進めています。
民間主導でデジタル円の実現を後押しし、キャッシュレス決済の利便性を向上させる最適な形を考えていくと考えられます。
中国が先行する「デジタル人民元」
中央銀行が発行するデジタル通貨については既に中国が実証実験を始めており「デジタル人民元」の実現が現実味を帯びてきています。
中央銀行によるデジタル通貨の導入は、金融システムに大きな影響を与える可能性があり、導入は簡単ではありません。
しかしながら政府側にとってはメリットも多く、まして中国などが先行している状況などをみれば、日本もゆっくり状況を見ている場合ではありません。
デジタル法定通貨が浸透してくると、先行しているデジタル通貨が国際的にも影響力を強めていく可能性があるからです。
国際基軸通貨として認められている日本円の高い信用力を維持するためにも「デジタル円」の準備を進めていく必要があります。
まとめ
今回はデジタル通貨という暗号資産(仮想通貨)の枠を超えた大きな通貨システムの勉強会を取り上げました。
暗号資産(仮想通貨)がその世界だけで成立しているものではなく、法定通貨や電子マネーなどとも結びつく通貨システムとして認識されるようになった事例だといえます。
いよいよ実用化が意識されてきたことは日本の暗号資産(仮想通貨)にとって非常に大きな転換点になっていると思います。
新しい段階に入った暗号資産(仮想通貨)の動きを、勉強会の議論と併せて見守って行きたいと思います。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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