ビットコインSV(Bitcoin SV)
(2021.01.07.改訂)
ビットコインSV(BSV)は、ビットコインキャッシュ (BCH)からのハードフォークによって分岐し誕生したコインです。通貨単位はBSVです。
2018年11月に誕生したばかりのコインでありながら3,141億円の時価総額を誇り、 時価総額ランキングでも13位に付けています。
●通貨名称 ビットコインSV (Bitcoin SV)
●通貨単位 BSV
●総合順位 13位* (前回8位**)
●通貨価格 16,876円* (前回24,255円**)
●時価総額 3,141億円*(前回4,328億円**)
●公開時期 2018年11月16日公開
●発行上限 2100万枚
●承認法式 PoW
●提唱者 クレイグ·ライト(Craig Wright)
(* 2021.01.03. CoinMarketcap公開データより集計)
(**2019.06.20. CoinMarketcap公開データより集計)
誕生の経緯
ビットコインSV(BSV)は、ビットコインキャッシュ(BSV)から分岐する形で生まれました。
その原因となったのは、2018年11月に行われたビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークを巡る意見の対立です。
ハードフォークとは、以前の仕様とは互換性の無い形での仕様変更を実施する事です。
ビットコインキャッシュ(BCH) ではハードフォークによるアップデートについて、2つの考え方が対立していました。
1つ目は、ビットコインキャッシュ(BCH)にクロスチェーンを実装して、異なる仮想通貨(暗号資産)との間でのトレードができる様に仕様変更する案です。
2つ目は、取引が集中して処理能力を超えてしまい、処理の遅延を起こす問題(スケーラビリティ問題)の解決の為に、取引記録のブロックの大きさを32MBから128MBに拡大すると言うものでしした。
最終的に両案は折り合いが付かず、それぞれハードフォークを実施して別々のコインとして展開して行く事になりました。
最初の案で仕様変更をしたコインがビットコインABC、2つ目の案のコインがビットコインSVとなり、ビットコインキャッシュ(BCH)は2つに分岐する事になったのです。
選択を迫られる取引所
ビットコインキャッシュ(BCH)がハードフォークを経てビットコインABCとビットコインSVに分かれた事は、世界中の仮想通貨取引所に動揺を与えました。
どちらがビットコインキャッシュ(BCH)の正当な継承コインとするかをジャッジする必要に迫られたからです。
両コイン共ハードフォークによる仕様変更を実施しているので、変更以前の形には戻れません。
ビットコインキャッシュ(BCH)を扱っていた取引所は、預かっていた資産や今後の取引をどう継続して行くかを判断しなければいけません。
対応方法としては
●旧ビットコインキャッシュ (BCH) を精算する
●ビットコインABCを継承コインと見なしてBCHの資産を引き継ぐ
●ビットコインSVを継承コインと見なしてBCHの資産を引き継ぐ
と言う選択がありました。
分岐に当って、 ビットコインABCとビットコインSVの間での 「ハッシュ戦争」と呼ばれる主導権争いが発生し、多くの取引所ではその影響が落ち着くまでビットコインキャッシュ(BCH)の売買を停止する措置を取りました。
ハッシュ戦争
ハッシュ戦争とは、現象的に言うと、ハードフォークなどをきっかけにマイニング競争をしてコインの攻撃への耐性・安全性を競う事です。
攻撃側から見ると、コインの過半数を握るグループを形成できれば、強制的にコインの仕様を変更させる事ができます。
これは俗に51%攻撃と呼ばれているものです。
守る側からすると、こちらもマイニングを活性化する事によって、マイニング成功の難易度(ハッシュレベル)を上げて置かないと、51%攻撃を受けるリスクが高まってしまいます。
ビットコインABC、ビットコインSV両陣営の間では、分裂時のハッシュ争いに勝った方(より難易度の高いハッシュレートを作れた方)が、ビットコインキャッシュ(BCH)を継承する事としました。
そして双方のコインが公開されると、両陣営は採算を度外視したマイニング競争(ハッシュ競争)を始めました。
ハッシュレートは、一時はビットコインSVがリードしていましたが、その後ビットコインABCの方が優勢となり形勢が固まります。
これを受けて、ビットコインSVを牽引するクレイグ氏が2018年11月26日にハッシュ戦の終結宣言をアナウンスし、両陣営の戦いは結末を迎えました。
この結果、ビットコインABCがビットコインキャッシュを継承して通貨名もBCHを受け継ぐ事になりました。
一方のビットコインSVは、新しいコインとしてBSVと表記される様になりました。
本流はABC
各国の取引所を中心とする仮想通貨市場はビットコインABCをビットコインキャッシュ(BCH)の本流と評価しました。
その為ビットコインキャッシュ(BCH)を扱う殆どの取引所では、そのままビットコインABCの価格が反映されました。
名称もABCを使わずにそのままビットコインキャッシュ(BCH)と表記してある取引所が多いです。
あくまでビットコインキャッシュ (BCH)に対して、分岐してビットコインSV (BSV)が誕生した、 と言うスタンスです。
ビットコインSVの中心人物
ビットコインキャッシュから分岐してビットコインSVを誕生させた動きの中心となったのが、クレイグ·ライト(Craig Wright)氏です。
クレイグ氏は自ら「ビットコイン(BTC)の祖」を名乗る、仮想通貨(暗号資産)の世界では有名な人物です。
2016年には自分がビットコインを提唱した正体不明の人物、サトシ・ナカモト本人であると名乗り出た事もあります。
但しクレイグ氏のこの主張は各方面から否定されており、世界的取引所のBinanceからは警告も受けている状況です。
クレイグ氏は2019年4月にはビットコインのホワイトペーパーの著作権を取得しています。
(これがビットコイン提唱者の証明になる訳ではありません)
クレイグ氏は、ビットコインの最初のハードフォークの際にはビットコインキャッシュ(BCH)を支持しています。
そのクレイグ氏が、今回はビットコインキャッシュのハードフォークによる分岐を主導して、ビットコインSV(BSV)を生み出した訳です。
因みにビットコインSVのSVは「サトシビジョン」の略と言う事です。
ビットコインSVの特長
ビットコインSV (BSV)にはどの様な特長、メリットがあるでしょうか。
主な特長としては
●処理速度の向上
●セキュリティ面の向上
●ビットコインSVが基軸の取引所を開設
●と言った項目が挙げられます。
処理速度の向上
ビットコインSV(BSV)では、一回に生成されるブロックの容量をビットコインキャッシュの32MBから128MBまで引き上げました。
これにより1つのブロックに書き込める取引情報が大幅に増え、処理能力が大幅に向上しています。
またブロックチェーンによる承認を必要としないゼロ承認トランザクション機能を実装して、取引処理の送金を高めています。
セキュリティ面の向上
ビットコインSV(BSV)では、リブレイブロテクションと言う技術を導入してセキュリティ性能を高めています。
ビットコインSVが基軸の取引所を開設
海外にはなりますが、ビットコインSV(BSV)を基軸通貨に採用した取引所Float SVが開設されています。
Float SVでは、BSVでビットコインキャッシュ(BCH) を売買する事ができます。
ビットコインSVのデメリット
ビットコインSV(BSV)にはどの様なデメリットがあるでしょうか、
主なデメリットとしては
●国内の取引所で購入できない
●クレイグ氏の影響が強すぎる
と言った項目が挙げられます。
国内の取引所で購入できない
ビットコインSV(BSV)は、日本国内の取引所では取扱いが無く、購入する事ができません。
ビットコインSV(BSV) 誕生の際には、CoincheckやBIT PointではBSVの上場はしていないものの、ビットコインキャッシュ(BSH)の保有者に対して、付与相当分のビットコインSV(BSV)に相当する日本円を支払うと言う対応をしました。
ただビットコインキャッシュ (BCH)を上場している国内の他の取引所では、こうした対応は実施されませんでした。
購入したいと言う場合には海外の取引所を使う必要がありますが、日本でも人気の高い取引所のBainanceでは、上場廃止となっており売買ができません。
この点は大きなデメリットと考えられます。
クレイグ氏の影響が強すぎる
提唱者クレイグ氏の影響が強過ぎると言うのも、ビットコインSV(BSV)の不安な点として挙げられます。
前述した様に、クレイグ氏は良くも悪くも注目を集める人物です。
ビットコインSVに情熱を持っている事は認めますが、かなり強引な選択も目立ちそれがコインにも悪い影響を育す事があります。
サトシ・ナカモト本人と名乗り出た件に関しては、Bainanceから警告を受けていますが、Bainanceでは、ビットコインSV(BSV)についても上場を廃止すると言う対応をしています。
この件では提唱者のキャラクターがコインにマイナスの影響を与えていると言えます。
今後の見通し
ビットコインSV(BSV)の価格は、分岐して誕生した直後は暴落しましたが、その後急激に回復して落ち着くと言う値動きを見せました。
2021年1月3日現在、ビットコインSVは16,876円の価格を付けています。
同日のビットコインキャッシュの価格が36,935円となっているので2倍以上の差をつけられている事になります。
発行枚数の上限はどちらも2100万枚でビットコインと同じ枚数なので、まずはやはりビットコインキャッシュの価格がターゲットと言う事になるのでしょう。
もちろん実際の取引は御自身の判断、自己責任でお願いします。
まとめ
ビットコインSV(BSV)は少々強引な形で誕生した暗号資産ですが、見事時価総額トップ15に入る様なスケールを維持し、メジャーコインの1つに名乗りを上げています。
ビットコインSVを基軸通貨に採用した取引所(Flort SV)の開設など、ポジティブな要素も少なくありません。
一方ではクレイグ氏の言動を巡る動きや、更なる分岐の不安などネガティブな要素も抱えています。
将来性はあるけど注意も必要、と言ったコインになると思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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