ビットコインキャッシュ(BCH)とは⁉特徴と仕様を解説

暗号資産(仮想通貨)
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ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)

2021.01.21.改訂

ビットコインキャッシュ (BCH)は、2021年1月3日時点で6,870億円の時価総額を誇り、時価総額第7位につける有力な暗号資産(仮想通貨)です。
通貨単位はBCHです。

●PJ名称 ビットコイン·キャッシュ
●通貨名称 Bitcoin Cash
●通貨単位 BCH
●通貨順位 第7位*(前回第5位**)
●時価総額 6,870億円*(前
8,006億円**)
●通貨価格 36,935円*(前
44,860円**)
●発行上限 2,100万枚
●公開時期 2017年8月発行

●承認方式 PoW(Proof of Work)
(* 順位、単価、時価総額はCoinMarketCap 2021.01.03.発表データより集計)
(**前年の順位、時価総額はCoinMarketCap 2019.06.20.発表データより集計)

ビットコインとは別物です

ビットコインキャッシュ(BCH)は、2017年8月のビットコインの仕様変更の際に、ビットコインから分離する形で誕生したコインです。
ベースとなるプログラムコードはほぼ同じですが、ビットコインとは全く別の独立した暗号資産となります。
分離の主な原因は、 ビットコインが抱えていたスケーラビリティという問題への対応方法について開発チームが示した仕様変更案に、一部のマイニング(採掘)グループが強く反対した事にあります。

スケーラビリテ問題

ビットコインは10分毎に約4,000件の取引を記録できるブロックを形成します。
これによって1秒間に最大7件の取引を処理する事ができました(現在は最大14件)。
しかしながら取引の増加と共にこの処理能力を超えるペースで取引が発生する様になり、取引の記録・承認が滞るという問題が深刻化していました。
これがいわゆるスケーラビリティ問題です。
ビットコインのコミュニティはこのスケーラビリティ問題を解決するための議論を重ね、ハードフォークと呼ばれる方式の仕様変更をする事を決めました。
ハードフォークとは、変更前とは互換性の無い形で仕様変更・アップグレードを実施する事です。
これに対し変更前と互換性がある仕様変更はソフトフォークと呼ばれます。

問題の解決方法

スケーラビリティ問題を解決する方法としては、単純に言うと

①.ブロックに記録する情報を少なくする方法
②.ブロックの容量を大きくする方法

の2つが考えられます。
ビットコインのコミュニティは①の方法を選択します。
取引を記録する時に、署名情報と取引情報を分離する事で記録する情報量を減らす仕組み(Segwit)を導入して処理能力の向上を目指す事になりました。
Segwitの導入によって、ブロックの容量(1MB) の中に実質最大で1.7MBの情報を書き込める仕様になります。

マイニンググループの反対

ところが仕様変更の詳細が固まってくると、中国のビットメイン(Bitmain)社を中心とするマイニング(採掘)グループから強力な反対の声が上がりました。
ビットコインには、ブロック生成の際に必要な複雑な計算をして算出される特定の値を見付けた人にビットコインが報酬として与えられる「マイニング」という仕組みがあります。
マイニング・グループは、高価なマイニング専用の機材を使ってビットコインをマイニング(採掘)して多大な利益を得ていました。
今回の仕様変更でSegwitが導入された場合、これらの機材がマイニングに使えなくなる可能性が高い事が分かり、導入に反対の立場を取った訳です。
2017年5月には開発チームからSegwit2× という案が提示されました。
ブロックのサイズを2MBに拡大してsegwitを導入するという提案です。
最終的にビットコイン(BTC)この案での仕様変更を決定しました。

ビットコインキャッシュの誕生

一方で中国系のマイナー達は、 ビットコイン(BTC)から分岐する形で新しいコインを作る事を選択しました。
具体的にはViaBTCという、ビットメイン社とは別の中国系マイニンググループによってビットコインからの分岐(ハードフォーク)が実施されていますが、ViaBTCとビットメインが共謀していた可能性も取り沙汰されています。
基本的には旧ビットコインのプログラムをベースにして、Segwitは導入せず、代わりにブロックの大きさ(容量)を1MBから8MBに拡大する仕様にして、スケーラビリティ問題に対応しました。
こうして2017年8月に、ビットコインから分岐する形で新たなコイン「ビットコインキャッシュ (BCH)」が誕生しました。
ビットコインとは互換性が無いハードフォークと言う形での分岐です。
ビットコイン・キャッシュ(BCH) は、ビットコイン(BTC)の保有者に、保有量と同じ量のBCHが付与されると言う形で発行·配布されました。

ビットコイン·キャッシュの特長

ビットコイン・キャッシュ(BCH)は、 誕生の経緯からも分かる様にビットコインと良く似た機能を持つコインですが、ビットコイン・キャッシュ(BCH)の特長としては、その様なものがあるでしょうか。
主な特長としては

●ブロックの容量が大きい
●マイニングの難易度を調整できる
●流動性が大きい

と言った項目が挙げられます。

ブロックの容量が大きい

ビットコインからの分岐の話でも触れましたが、ビットコイン・キャッシュ(BCH)では情報を書き込むブロックの大きさ(容量)を1MBから8MBに拡大しました。
これによって、これまでの8倍の情報 (取引記録)が記録できます。
また、今後もブロックの容量については、ハードフォークをしなくても32MBまでは拡張が可能な仕様設計になっています。
ただ実際には、これまでの所は1 MB以上のブロックは生成されておらず、機能をフルに発揮する様な場面は現れていません。
安定した運用が期待できると言うのはビットコイン・キャッシュ (BCH)の強みです。

マイニングの難度を調整できる

更にビットコイン・キャッシュ(BCH)では、マイニング時の難易度をより細かく調整できる仕組みが実装されています。
ブロックの生成時には複雑な計算作業を必要としており、それをマイニング作業が受け持っているのですが、その計算の難易度を調整して計算時間を一定にするアルゴリズムがシステムとして組み込まれています。
ビットコイン(BTC)にも同様のアルゴリズムがあり、2週間に1度難易度を調整する仕組みになっているのですが、ビットコイン・キャッシュ(BCH)では10分毎に調整するアルゴリズムが組込まれています。
実はビットコインキャッシュ(BCH)では、リリースをした直後にマイニングの難易度が上がり過ぎてしまうと言う事態を経験しました。
難易度が高過ぎるとブロックの生成に10分以上の時間が掛かってしまい、暗号資産(仮想通貨)としての信頼性を疑問視されます。
実際、この時には価格が大きく下落しました。
その後アルゴリズムが調整された事で安定的にブロックが生成される様になり、価格は上昇しました。

流動性が大きい

ビットコイン・キャッシュ(BCH)は、 最初にビットコインの保有者に同じ量のコインが割り当てられたので、ビットコイン(BTC)とほぼ同じ数量が流通しています。
その為、流動性が高く売買もしやすいと言う特徴を持っています。

リプレイアタックへの対策

ビットコインには、 余り知られてはいられませんが、ハードフォークの際のリプレイアタックをどう防ぐかと言う課題があります。
リプレイアタックは、ビットコインのハードフォークの際に懸念されている問題です。
ビットコイン・キャッシュ (BCH)が誕生した際、ビットコイン保有者には同数のBCHが付与されましたが、BCHに対応するかどうかについては取引所によって対応が分かれました。
●BCHに対応していない取引所 X
●BCHに対応している取引所 Y
が有るとして、BCHに対応していないX取引所からY取引所にBTCを移すと、仕組み上、同数のBCHが生まれます。
そのBTCを取引所Ⅹに戻すと、無料でBCHが生まれたことになります。
この作業を繰り返すと何度でもBCHを増やせる事になります。
これがリプレイアタックと呼ばれている問題です。
但しビットコイン・キャッシュ (BCH)では、リプレイアタックが成功しない様な対策が実装されています。

ビットコイン·キャッシュのデメリット

ビットコイン・キャッシュ(BCH)のデメリットとしてはどの様な事が考えられるでしょうか。
主なデメリットとしては

●セキュリティの問題
●マイニンググループが強すぎる

と言った項目が挙げられます。

セキュリティの問題

ビットコイン・キャッシュ(BCH)は、ブロックチェーンへの記録の安全性をビットコインと同様のマイニング作業によって確保しています。
現状ではビットコイン(BTC)と比べればマイニングへの参加者は少なく、その難易度も落ちる事から、 それに比例してセキュリティレベルも低くなっています。

マイニンググループが強すぎる

元々マイニング・グループが主導して生まれたコインなだけに、マイニンググループの影響力が強い事も問題点として挙げられます。
有力なマイニング・グループによって徐々に寡占化が進んで行く懸念もありますし、再びハードフォークによって新しいコインを作られる懸念を常に抱えています。

まとめ

ビットコイン・キャッシュは、メジャーなコインでは初めてのハードフォークで生まれたコインです。
こうした形で生まれたコインがどの様に評価されるのか、 誰も確かな事が分からず大きな不安も呼びましたが、 結果としてビットコイン(BTC) の価格は下がらず、ビットコイン・キャッシュ時価総額トップ5のメジャーコインになりました。
一方でこの成功が、良い面でも悪い面でも 仮想通貨(暗号資産)の新しい動きを作り出しています。
二匹目、三匹目のどじょうを狙う動きも見えています。
マイナー達の発言力が強すぎると言う問題も抱えていますが、その一方でこれだけの時価総額と流動性を持っているコインはそうはありません。
今後の動向からはやはり目が離せないコインと言えます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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